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僧正殺人事件 [海外の作家 た行]


僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)

僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)

  • 作者: S・S・ヴァン・ダイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/04/05
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
だあれが殺したコック・ロビン? 「それは私」とスズメが言った――。四月のニューヨーク、この有名な童謡の一節を模した不気味な殺人事件が勃発した。マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてくる“僧正”の正体とは? 史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス。江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一品。

古典中の古典、名作中の名作、僧正殺人事件です。
最近古典の新訳が流行ですが、これもそのひとつ。創元推理文庫は2010年発売ですが、1999年に集英社文庫からでた「僧正殺人事件  乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(3) 」の改稿であると巻末に記されています。
この作品は、小学生か中学生のころに創元推理文庫の旧訳版で読んだきりなのでもうずいぶんたちます。当時非常にどきどきわくわくして読んだ記憶があります。
童謡殺人というアイデアが光る作品で、そこに惹かれていたのだと思います。マザー・グースって、ミステリに似合いますよね。ミステリ的には、同じヴァン・ダインでは「グリーン家殺人事件」 (創元推理文庫)のほうが世評は高いようですが、僧正の方がずっと好きでした。
さて、今回読んでみると、さほどどきどき感はありませんでした。事件の数もかなり盛りだくさんなのに、思ったよりゆったりと物語が進みます。
ヴァン・ダインといえばペダンティズムで知られていますが、本筋とは関係のない薀蓄系の話に筆が割かれるということなので、その分進行が遅れるせいかもしれません。今となっては、このペダンティックな部分が不要に感じられてしまうのは仕方がないように思います。
犯人像にも強烈な印象を覚えていたのですが、わりとあっさり書かれているイメージで意外でした。もっとくどいくらいに書かれているような気がしていたのですが。それでもこの犯人像は現在でも十分通用するインパクトですね。
また、動機も「狂気」で片付けることなく、きちんと普通の(?)動機が用意されているのは、書かれた時代もあるのでしょうが、ミステリとしてみた場合の好感度アップです。
ところで、裏側の帯には「ファイロ・ヴァンスシリーズ新訳刊行スタート!」とありますが、その後出ていませんね。どうしたのでしょうか? この「僧正」の売れ行きが悪かったのでしょうか? 「グリーン家」も読み直してみたい気がするので、ぜひ続けてほしいのですが....

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Yuseum

おはようございます。
記事にもあるように集英社文庫の改稿だから、売れ行きは…と推測(ーー;)
by Yuseum (2011-10-29 04:48) 

31

Yuseumさん、コメントありがとうございます。
なるほど、そうですね。同じものは確かにそんなに買いませんよね。
がんばって続きも出してほしいのですが...
by 31 (2011-10-29 10:27) 

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