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秀吉の枷 [日本の作家 か行]


秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)
  • 作者: 加藤 廣
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
「殿は、いつまでもあの『覇王』の手先であってはなりませぬ」。死を目前にした軍師・竹中半兵衛は、病床で秀吉に四つの忠言と秘策を授けた。天正七年(一五七九)六月、蜂須賀小六、前野小右衛門ら播州から駆けつけた異能集団≪山の民≫を伴い、秀吉は密かに天下取りに動き出す。大ベストセラー『信長の棺』に続く本能寺三部作、第二弾。 <上巻>
「例の本能寺に通じる抜け穴を、本能寺の古井戸から至近距離で封鎖するのだ」。光秀の謀反を察知した秀吉は、前野将右衛門に命じた。その光秀を天王山に破り、秀吉は後継者争いのトップに躍り出る。やがて信長の遺児や嫡流を葬り去ると、信長の姪、茶々に触手を伸ばす。独裁者となった秀吉の心に広がる、消えることのない闇とは。 <中巻>
「わしは天子様から、跡継ぎのお子を頂戴する」。九州を制圧し、仇敵・家康を関八州に追いやり、さらには明遠征にまで乗り出す秀吉。豊臣家安泰のために、子作りと朝廷工作に励む秀吉を、絶望の底に陥れた≪淀君の陰謀≫とは一体何なのか。壮絶な後半生をあますことなく描いた、加藤版・秀吉一代記ついに完結。<下巻>


「信長の棺」〈上〉〈下〉 (文春文庫) にはじまり、「明智左馬助の恋」〈上〉 〈下〉 (文春文庫) で完結する「本能寺三部作」の第2作。
日ごろあまり歴史小説・時代小説を読まないのですが、たいへんおもしろく読みました。
前作「信長の棺」〈上〉〈下〉 は、本能寺の変の後、信長の死体はどこへ行ったか、という謎を伝記作家の太田牛一が追う、という構成でしたが、今回は秀吉の一代記という趣です。
一兵卒からのし上がっていった秀吉は、立場がどんどん変わり、それにつれて心情も変わっていくのも自然なことなので、一代記に向いているのですね。秀吉の考え、気持ちがかなり具体的に書かれているので、どのくらい史実に基づいているのか、かなり興味がわきました。
本能寺の変の真相については、さすがにフィクションではないかなぁ、と思いますが、あってもおかしくはないと思えますし、これがまさに「枷」となって後々の秀吉の行動に影響を与えていく、という流れは説得力ありますね。
秀吉の辞世の言葉が下巻に書かれている通りであるなら、ひょっとすると...と思わないでもありません。
また、淀君が関わってくるエピソードはどうなんでしょうか? こちらも本作を支える大きなエピソードですから、気になります。
淀君って、すごい人だったんですね。今ちょうど大河ドラマでこの時代をやっていますが、大違い...まあ、こんな怖い話、大河ドラマにはできないでしょうけど(笑)。
歴史に詳しい方の評価はわかりませんが、新鮮な解釈を盛り込んで、楽しめるエンターテイメントだと思います。




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