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菫色のハンドバッグ [日本の作家 赤川次郎]


菫色のハンドバッグ: 杉原爽香、三十八歳の冬 (光文社文庫 あ 1-133)

菫色のハンドバッグ: 杉原爽香、三十八歳の冬 (光文社文庫 あ 1-133)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/13
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
旧知の大女優・栗崎英子が八十歳を迎え、爽香もパーティを手伝うことに。だが、会場に予定したホテルKではリストラが実施されていた。ベテランホテルマンの戸畑から薦められたSホテルでの打合せ。爽香に同行した戸畑の部下・岡野道子が失踪! さらには、兄嫁・則子を追ってきた男が、爽香をつけ狙って……。登場人物が読者とともに年齢を重ねる人気シリーズ!

主人公が毎年1歳ずつ歳をとっていく、というかなり珍しいシリーズです。15歳でスタートし24冊目。すでに38歳です。
よくもまあこんなに、というくらい、次から次へと苦難が降りかかってきますが、どんな逆境にもくじけない、責任感が強く、まじめな女の子、が、もう立派なキャリア・ウーマンとなっています。
若いころはそうでもなかったのですが、ある程度の年齢をとった爽香は、どうも好きになれません。
いい人だし、頼りになりますが、なんでもかんでも自分ひとりで背負い込んで、自分でやらないと気がすまない。こういう人が実際に近くにいたとしたらどうでしょうか? いい意味での「遊び」がなさすぎて、息が詰まりそうです。近頃では、わりと独善的に見える行動も目につきますし、長いファンとしては複雑なところです。
と思っていたら、この作品でいちばんびっくりしたのは、P178!!! これはすごいシーンです。爽香って、こういうキャラクターだったのですか。うーん、びっくり。全作、そういう目で読み直す必要があるかも--実際には読み返したりはしませんけれども。あるいはこちらがぼけて忘れているだけ??
メインとなる題材としては、ホテルのリストラが取り上げられていますが、ちょっとこれはないんじゃないでしょうか? あまりに図式的な人物配置には疑問を覚えます。また裏事情も平凡極まりないうえに、実際に同じようなことを狙っても違う行動をとるだろうと思われることが多く(いくらなんでも、もっとうまくやると思います)、わかりやすくするためかもしれませんが、現実を知らない人が頭の中の思い込みだけでえいやっと安直にストーリーを組み立てたように思えます。
ということで、この作品そのものはあまり評価できませんが、シリーズとしては、爽香のキャラクターも含めて、この先が気になります。
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