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シクラメンと、見えない密室 [日本の作家 柄刀一]


シクラメンと、見えない密室 (光文社文庫)

シクラメンと、見えない密室 (光文社文庫)

  • 作者: 柄刀 一
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/11/09
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
扉を開けるとオジギソウが挨拶をしてくれる、花いっぱいの喫茶店。美しくミステリアスな店主とその娘が、悩める客の持ち込む不可解な謎を、鮮やかに解き明かしてゆく。遠隔殺人、見えない密室、同時に4つの場所に出現した男……不可能を可能にする驚愕のトリックとは?
さらに最終章では、とんでもない大仕掛けが明らかに――。
柄刀マジックの真骨頂。

タイトルにもありますが、花をモチーフにした連作短編集。
「美しくミステリアス」とあらすじにもありますが、探偵役をつとめるこの母娘が、たおやかでありながら、どこか不穏な、というか、どことなく落ち着かない気分にさせるような雰囲気を持っていることが特徴となっています。
このことは、全編を貫く趣向に通じているのですが、うーん、肌に合いません。ロマンティックな仕掛けだとは思うのですが...それまでの短編がミステリらしいミステリであったのが、ふっとそこから飛翔していってしまったことに、こちらがついていけなかっただけだとは思いますが。
ただ、こういう設定であるのなら、この母娘が客の数々の事件の謎解きを行う理由がわからないのは少々気になるところです。頼まれて推理を話す、というよりは積極的に事件の究明を行っているパターンが多く、そういう人物としてキャラクターが設定されているようには思えませんでした。むしろ、カウンターの内側でただただたおやかに微笑んでいるのがふさわしいように感じられます。
というわけで、全体としての印象では強く推しきれないのですが、個々の作品のミステリとしての仕掛け・トリックは冴えていて、読みごたえはあると思います。特に、表題作や解説で加納朋子が挙げている「遠隔殺人と、ハシバミの葉」など、トリックとそれを埋め込む手腕が素晴らしく、強く感心しました。


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