SSブログ

骸の爪 [日本の作家 道尾秀介]


骸の爪 (幻冬舎文庫)

骸の爪 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪ねる。彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。しかも翌日には仏師が一人消えていた。道尾は、霊現象探求家の真備、真備の助手・凛の三人で、瑞祥房を再訪し、その謎を探る。工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい?

道尾秀介の長編第3作です。
デビュー作で第5回ホラーサスペンス大賞受賞作の「背の眼」〈上〉〈下〉 (幻冬舎文庫) に続いて、真備庄介が探偵役で、ワトソン役が作者と同名の道尾秀介です。
工房という閉鎖された世界を舞台に、二十年前の事件が今に影響を与えて新たな事件を引き起こす、という典型的な本格ミステリの構図に挑んでいます。
道尾秀介というと、やはり「向日葵の咲かない夏」 (新潮文庫)の印象が強く、普通のミステリを逸脱したところがどこかしらあるような警戒感を抱かせるのですが、この作品はストレートなミステリとなっています。
仏像の顔が変わる、とか、仏像が血を流す、とかいかにもホラーチックな事象が出てきますが、合理的に解決されます。
第七章と最終章と2つも章を使ってたっぷり謎解きが繰り広げられるのにぐっときます。そしてこの作品で作者は、横溝正史の某作品で有名なアレをやってくれています。作品の根幹というわけではなく、1冊のなかで比重は小さいものだとは思いますが、360ページで明かされたときにうれしくなってしまいました。いやあ、楽しい。さらに、374ページ、380ページと波状攻撃を仕掛けてくれます。それぞれ、少しずつ趣向が違って、なんて贅沢なんだろう、と。ミステリをあまり好きではない人は、こんなことで? と思われるかもしれませんが、こういうの大好きです。
それ以外の部分も、小道具・大道具から死体まで、すっきりと出し入れがなされて、充実したミステリになっていると思います。
真備庄介シリーズ(?)の第3作を期待します! 道尾さんにはぜひ書いていただきたいです。
nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0