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少女ノイズ [日本の作家 ま行]


少女ノイズ (光文社文庫)

少女ノイズ (光文社文庫)

  • 作者: 三雲 岳斗
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
欠落した記憶を抱え、殺人現場の写真に執着を持つ青年と、心を閉ざして、理想的な優等生を演じつづける孤独な少女。進学塾の屋上で出会った二人が見つめる恐ろしくも哀しい事件の真実とは何か? そして、少女のつけた巨大なヘッドフォンのコードは、どこにつながるのか?冷徹なまでに美しい本格の論理で解かれる最大の謎は、エンドロールのあとの二人の未来――。

この本、帯に
「ミステリ部分、ぶっちゃけどうでもいい。
『少女ノイズ』は彼と彼女が
出会い、求め合う、
ただそれだけの恋の物語だ。」
なんていう有川浩さんのコメント(?)が書かれています。ミステリファンの神経を逆なでするような感じ? ちょっと反発を覚えてしまいました。
三雲岳斗といったら、第1回(1999年) 日本SF新人賞を受賞したデビュー作 「M.G.H.―楽園の鏡像」 (徳間デュアル文庫)がSF的設定の本格ミステリで、第2作の「海底密室」 (徳間デュアル文庫)もやっぱり本格ミステリで、軽く見られがちな機械トリックも立派に美しいことを続けて示してくれた作家です。
レオナルド・ダ・ヴィンチを探偵役にした「聖遺の天使」 (双葉文庫)などでもそのテクニックを発揮してくれた作家です。ミステリを強く期待するではありませんか!--もちろんミステリではない作品もたくさん書いておられますが...
でも、読み進んでいるうちに、有川さんに賛同したくなってきました。
この作品においてはミステリの部分は確かに「ボーイ・ミーツ・ガール」に奉仕しています。そんなに新奇性もないし、素直な印象。
すごく乾いた印象を受ける文章で、キャラクターも十分特徴ありますし、ミステリの比重が低くても楽します。でも、ミステリファンとしてはちょっと寂しいな、と。
そう思って読んだ最後の第5話「静かな密室」は、期待に応えてくれました。トリックが軽いとか言う声も聞こえてきそうですが、いやいや、そんなことはありません。学校が舞台ではなく進学塾が舞台であったことも、謎を解明するのが「ボーイ・ミーツ・ガール」のガールである斎宮瞑(いつきのみやめい)であることも、そのキャラクター設定も、この謎と無関係ではないと思います。十二分に満足しました。
もちろん、この第5話は「ボーイ・ミーツ・ガール」の面でもしっかりと効果を挙げています。
ということで、引き続き三雲岳斗をミステリ作家として注目していきたいと思います。


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