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大東京三十五区 冥都七事件 [日本の作家 ま行]

大東京三十五区 冥都七事件 (祥伝社文庫)

大東京三十五区 冥都七事件 (祥伝社文庫)

  • 作者: 物集 高音
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
血を吐く松。迷路での人間消失。消える幽霊電車。天に浮かぶ文字--昭和も始め、帝都東京に現われた謎また謎。早稲田の不良書生、阿閉(あとじ)君はこれら怪事件の取材におお忙し。「玄翁(げんのう)先生」こと間直瀬玄蕃(まなせげんば)は縁側でその謎に挑む。二人の珍妙な問答の末、明かされる意外な真相とは? レトロでモダンで猟奇(エログロ)な時代の風俗を背景に、罠(トリック)と論理(ロジック)が冴え渡る探偵小説の真骨頂。

帯には、
「高橋克彦、京極夏彦両先生御推薦!
レトロでモダンで猟奇(エログロ)
薫り高き昭和六年、帝都へようこそ!」
と書かれています。
かなり凝った語り口になっていまして、古文、擬古文ではないのですが、何と呼べばよいのでしょうか? さておき、読みにくい。
講談が近いのでしょうか? 講談自体を知らないのでなんとも言えませんが...
音読するとよさそうなことが解説には書かれていますが、うーん、こちらは音読する趣味はないので...もっとも、なんとなくリズムがよさそうには感じられますが、果たしてみなさんどうでしょうか?
読みにくいことは読みにくいのですが、この文体、時代の雰囲気は十二分に伝わってきます。続編「夭都七事件―大東京三十五区」 (祥伝社文庫)、 「大東京三十五区 亡都七事件」(祥伝社)が出ていますので、読み進むうちにこちらが慣れてきて、しっくりくるのかな?
文体だけではなく、起こる事件も時代色豊かというか、あらすじにもある通り、レトロで、モダンな感じがします。昭和浪漫? 各話の冒頭に、当時の地図が掲げられているのも趣あり。
ジャンル分けすると、安楽椅子探偵ものになるのでしょうか? お年寄りが解決して見せるという趣向は古今通していろいろありますが、安楽椅子探偵ということでは、バロネス・オルツェの「隅の老人」 (ハヤカワ・ミステリ文庫) (創元推理文庫では、「隅の老人の事件簿」 )が近いかな?
それぞれの事件も、それなりに手が込んでいまして、相応に不可能興味があふれているところがいいですね。謎ときも、そりゃあ、すぐにばれるだろう、というのもありますが、ちゃんと合理的に解かれます。
最終話に至って、東京創元社から出た本なのかな? と思えるよう趣向が混じっていたりするのもご愛嬌でしょう。しかし、このエンディングでどうやって続編を書いたのか、気になります。
誰にでもおすすめできる作風ではないと思いますが、高橋克彦、京極夏彦というお二人が推薦されるだけのことはあるように思いました。
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