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萩を揺らす雨 [日本の作家 や行]


萩を揺らす雨―紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)

萩を揺らす雨―紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)

  • 作者: 吉永 南央
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
観音さまが見下ろす街で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草(すぎうらそう)。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づく。オール讀物推理小説新人賞受賞のデビュー作を含む「日常の謎」を解く連作短編集。

帯には「小粋なおばあちゃんが解き明かす『日常の謎』」とありますが、読後の印象はちょっと違います。
おばあさん探偵というと、やはりミス・マープルでしょうか。でも、ミス・マープルの読後感とも違います。
日本らしい、というといい加減な表現ですが、侘び、寂びというか、老いの哀れというか、じんわりと伝わってくる連作です。
それでいて重苦しく、暗いものにはなっていない。そこが一番の長所ではないでしょうか。
痴呆(ボケ)と間違えられる探偵というのも大変ですが、それでも主人公の草さんはすっくと立っているイメージですね。読後感はいい作品です。コーヒーが小道具になっているのがぴったりです。
ただ、最近の「日常の謎」に共通する感想ですが、ミステリとしてはやっぱり弱いですよねー。「日常の謎」といえば北村薫ですが、もっともっとミステリらしい真相が秘められていたり、ミステリらしく謎が解かれたりしていました。さすがに北村薫のレベルは無理にせよ、もう少しミステリらしくしてもらわないと、ミステリの賞の看板にそぐわない。そこが個人的には残念ですね。
もっともこのシリーズだったら、作品世界がミステリに依存していないともいえるわけで、まったくミステリじゃなくしてしまっても、十分な気もしますが...
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