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毒草師 QED Another Story [日本の作家 高田崇史]

Trial
毒草師 QED Another Story (講談社文庫)

毒草師 QED Another Story (講談社文庫)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/08/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
「恐ろしいのは毒草ではなく人間です」。
名家・鬼田山家で、「一つ目の鬼を見た」と言い残し、施錠された離れから家人が次々と失踪する事件が発生。さらに長男・柊也が何者かに毒殺され……。関係者全員を前に、古今東西の薬と毒に精通した〈毒草師〉を名乗る男・御名形史紋が、鮮やかすぎる推理を披露する!

QEDシリーズのスピンオフですね。
「QED 神器封殺」 (講談社文庫)あたりから登場している御名形史紋が探偵役です。なので、副題が「QED Another Story」 
毒草師というのは御名形史紋の職業。薬師<くすし>でもいいような気もしますが...さておき。
「伊勢物語」が下敷きになっています。
歴史ミステリについては、歴史の部分と現代の事件の部分のつながりが悪い、とか、歴史の部分はおもしろいのに現代の事件の部分がつけたしというか物足りない、という批判がよく寄せられます。QEDについても、そういう批判はあるようです。
確かにそういう作品もないではないですが、「QED 六歌仙の暗号」 (講談社文庫)では、歴史と現代の事件が不可分であることに文字通り驚嘆しましたし、「QED 式の密室」 (講談社文庫)では無理無理のトリック(といって怒る人もいると思います)を歴史を絡めることで大胆に成立させる剛腕に酔わされました。
この「毒草師 QED Another Story」 も、同様の趣をもっていまして、堪能しました。
ちょっと両作の焼き直し感もないではないですが、「伊勢物語」の解釈ときちんと寄り添っていて、ぼくはこれで満足です。
御名形ならではの“毒草”の部分は、両刃の剣というか、ミステリとしては非常に扱いづらいラインを突いていまして、作者の冒険心をみました。
タタルがメインのQEDに続き、こちらもシリーズ化(?)されているようで、続編の「毒草師 白蛇の洗礼」 (講談社ノベルス)も出ていますので、期待して文庫化を待ちます。

<蛇足>
あらすじの末尾に、「鮮やかすぎる推理」とあります。
この「〇〇すぎる」という言い方、週刊誌やテレビで「美人すぎる~」というように使われて広まったものだと思いますが、こんな品のない言い方、講談社ともあろう大出版社が文芸書のあらすじに使ってほしくなかったですね...
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まっきー☆

こちらの作品も面白そうですね!! といっても、たどり着くまでに相当時間がかかりそうですが・・・。 楽しみにしたいと思います!
by まっきー☆ (2012-08-26 19:22) 

31

まっきー☆ さん、いつもありがとうございます。
はい、面白かったです。
QEDを読み始めていただいたようなので、こちらも、いずれぜひ!

by 31 (2012-09-01 18:30) 

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