紙魚家崩壊 [日本の作家 か行]
<裏表紙あらすじ>
日常のふとした裂け目に入りこみ心が壊れていく女性、秘められた想いのたどり着く場所、ミステリの中に生きる人間たちの覚悟、生活の中に潜むささやかな謎を解きほぐす軽やかな推理、オトギ国を震撼させた「カチカチ山」の“おばあさん殺害事件”の真相とは? 優美なたくらみに満ちた九つの謎を描く傑作ミステリ短編集。
北村薫のシリーズ外の短編集です。
読者とは勝手なもので、北村薫に対する期待値は非常に高いので、少々のことでは満足できないようになってしまっています。
この作品集も、さっと読んでしまうと、とりたてて...という印象を受けてしまいます。
ごった煮のような雰囲気の短編集であることもそういう印象の一因になっているかも。
そんなときは、解説を読んでください。
北村薫の「謎物語―あるいは物語の謎」 (角川文庫)からの引用で解説ははじまります。
「作品は楽譜にあたるもので、それを演奏するのが読者である。読書は決して受け身の作業ではない。百人音読者がいれば、そこには百の作品が生まれる。名曲を弾くように、我々は名作を読む。そこにこそ読書の醍醐味がある」
解説の石山さんの“演奏”を確認すると、北村薫の作品をちっとも読みこなせていなかった自分に気づき、自分なりの“演奏”をしてみたくなるはずです。
読み飛ばしてしまってはもったいない、そんな作品集です。
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