少女 [日本の作家 ま行]
<裏表紙あらすじ>
親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く――死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。
大変評判を呼び、映画にもなった「告白」 (双葉文庫) の湊かなえの第2作。「告白」 は2009年の本屋大賞もとっていますね。
「死体を見たい」「人が死ぬ瞬間を見たい」というちょっぴり(?)ゆがんだ願望に基づいてひと夏の行動をとった女子高校生たちの物語ですが、思春期の女の子なら、こういうこともあるのかも、なんて思わされてしまいました。お堅い人からはボランティアをそんな目的でやるな~っとお叱りを受けそうですが...
ともあれ、最近「イヤミス」なんていう語も使われるようですが、決してさわやかとはいえない読後感なのでご注意を。
狭い登場人物たちのつながりで、錯綜したプロットを築き上げる作者の手腕は確かなので、そういう点をたっぷりと楽しんでいただければと思います。
おもには、由紀と敦子ふたりのパートが交互に語られるわけで、この2つが交錯するところに作者の腕の見せ所があるのですが、この作品の場合はそれに加えて、二人分を別々に語ることで、登場人物たちよりも読者のほうが一歩先につながりを想像しやすくなる構図になっているあたりが大きなポイントだと思いました。
作中に何度も出てくる、因果応報、という観点でこの物語を見てみると、いったん完結したように思えたこの作品の後こそが、本領発揮という部分かもしれませんが、その手前で終わっています。想像するとちょっと怖いですね。
タグ:湊かなえ
コメント 0