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T.R.Y. 北京詐劇(ペキン・コンフィデンシャル) [日本の作家 あ行]


T.R.Y. 北京詐劇 (角川文庫)

T.R.Y. 北京詐劇 (角川文庫)

  • 作者: 井上 尚登
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/10/24
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
1915年、辛亥革命から4年。革命政権は崩壊、軍閥は政敵を次次に暗殺し、政権を強奪した。ヨーロッパでは世界大戦が勃発、列強は中国を巡り蠢いていた。そのころ、天才詐欺師・伊沢修は、袁世凱に極上の中国料理を給仕していた。料理の褒美として、伊沢が中華民国大総統に願い出たのは、ある遺跡を発掘することだった――。上海、北京、徳島。稀代の陰謀家を権力の座から引きずり下ろす、世紀のペテンの幕がいま、切って落とされた!

横溝正史賞受賞作である「T.R.Y.」 (角川文庫)の続編です。詐欺師・伊沢を主人公に据えたコン・ゲーム小説。
前作「T.R.Y.」は織田裕二主演で映画化されたので、ご存知の方も多いかも。
コンゲーム小説は大好きなので、この続編も期待して読みました。
今回の相手は、袁世凱。大きく出ましたねー。袁世凱の人物像も、新鮮味があったように感じました。
伊沢が一歩一歩着実に手を進めていくように、作者も一歩一歩物語の結構を読者に明らかにしていきます。
ちょっと軽めではありますが、伊沢をとりまく仲間たちにもきちんと筆が割かれていて、そのことが詐欺の手順を確かなものに感じさせる要因となっています。
知恵比べ的な要素が強いコン・ゲーム小説では、どうしても読者が「そんなにうまくいくかなぁ」と感じる部分が出てきてしまいますが、人間像を含めてディテールを積み重ねていくことでそのリスクを軽減しているあたり、コンゲーム小説の王道とはいえ、井上尚登の力を感じます。
オールスターキャスト、とまではいきませんが、「T.R.Y.」に出てきた人物たちも登場させて彩りを添えているのも楽しかったです。
第三作を書いてほしいです。
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