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さあ、地獄へ堕ちよう [日本の作家 さ行]


さあ、地獄へ堕ちよう

さあ、地獄へ堕ちよう

  • 作者: 菅原 和也
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/09/25
  • メディア: 単行本



単行本です。
第32回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
河合莞爾「デッドマン」と同時受賞です。

この作品、いつものようにあらすじを引用しようにも、どこにもあらすじが書いてない...
仕方ないので、出版社のホームページから
「SMバーでM嬢として働くミチは、偶然再会した幼なじみ・タミーから《地獄へ堕ちよう》というWebサイトの存在を教えられる。そのサイトに登録し、指定された相手を殺害すると報酬が与えられるというのだが……。」

SMバーだ、裏サイトだ、身体改造(ブランディング、スキンリムーバル、サブインシジョンなど)だと、派手な題材を取り上げていますし、裏表紙側の表紙袖にある著者略歴が「19歳の時に上京し、上野のピアノバーでバーテンダーとして2年ほど勤務するが、アルコール依存症になりかけたので退職。その後、東京都内のキャバクラでボーイとして働く」なんてものだし、なんかどぎつい作品だな、というのがまず持たれる印象ではないかと思います。
確かに、冒頭から延々とSMバーのシーンだし、グロいシーンも満載ではありますが、主人公ミチが裏サイトにアクセスしてからは、意外と(?)普通のミステリです。というよりはむしろ、派手な外見をはぎ取ってみれば、古めかしいといってもいいくらい。
グロい部分を取り払ってみると、主人公が最後に抱く感慨も、うーん、ありふれているといいたくなるほど、目新しさがない。
帯には「破滅型ミステリ」と書いてありますが、退廃的な題材を扱っていても、ミステリとしては、まっとうです。
昔ながらの骨格に、派手めで今風のお化粧を施してみた、という感じの作品です。
あっ、なんだか書き方が否定的な感じになってしまっていますが、この作品を否定するつもりはありません。リメイクというか、なんというか、昔ながらのものに、新しい衣装をまとわせて改めて提示する、というのは立派な行き方だと思いますので。
ただ、このやり方は、よほど題材をうまく選ばないと通用しにくい手法だと思いますので、次はどんな手でくるのだろうと、第2作が気になる作家だと思います。

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