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削除ボーイズ0326 [日本の作家 か行]


削除ボーイズ0326 (ポプラ文庫)

削除ボーイズ0326 (ポプラ文庫)

  • 作者: 方波見 大志
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2009/10/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
気まぐれに同じクラスの根暗女を助けたことから、直都は3分26秒間の出来事を消せる「制限事象削除装置」を手に入れた。装置を必要とするさまざまな事件が起こる中、直都の本当に消したい過去は――ままならない現実を駆け抜ける、少年少女のリアル・ファンタジー。第一回ポプラ社小説大賞受賞作。

あらすじにもある通り、第一回ポプラ社小説大賞受賞作です。
あまり聞かない文学賞ですが、タレントの水嶋ヒロが2010年の第5回大賞を「KAGEROU」で受賞し、いっとき話題になりましたね。
過去の出来事を3分26秒だけ消せる装置、というのが物語の駆動力となるのですが、ここに最大の不満があります。
過去をやり直すというのは小説の一大テーマであり、さまざまな作品がすでに発表されていますが、この作品では、なぜ3分26秒なのだろう? とみんな思うのではないでしょうか?
回答は用意されていません。3分26秒という妙に刻んだ時間である理由はなさそうです。装置そのものも、刻む理由はありませんし、ストーリー展開も3分26秒という中途半端だからこそできる消去、というのもなければ、3分26秒という中途半端だから消去できない過去というのも出てきません。
3分でも、5分でも物語は成立します。単にタイトルが0300ではインパクトに欠けるから、でしょうか?
よくできた小説って、こういうところから気を配られて出来上がっているものだと思うので、残念に感じました。
それ以外にも、小学生とは思えないとか、突っ込みどころ満載なのですが、おおもとにかかわる上記を一番の不満として挙げておきます。
確かに、どこかで読んだことのあるストーリー展開になってしまっていますが、まずまず、設計図は一所懸命引いて作った作品だなぁ、と思いました。
「いやな過去も消さなくていい。しっかり受け止めて、一所懸命生きていけばそれでいい。」というテーマは、手垢のついたものですが、訴える力はあると思いますし、削除によって変更された現在が必ずしもバラ色でないばかりか、最後に主人公に突きつけられる真実(?)が非常に意地悪なところも、考えたなぁ、と。
そのせいで、最後の50メートル走とか、記念撮影のシーンが、よくあるさわやか路線になりきれていないのですが、欠点とはとらえたくないですね。スカッとしたい人には向きませんが、次の作品も読んでみようかという気にさせてくれました。
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