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デッドマン [日本の作家 か行]


デッドマン

デッドマン

  • 作者: 河合 莞爾
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/09/25
  • メディア: 単行本


<裏表紙側帯あらすじ>
頭のない死体、胴体のない死体……身体の一部が持ち去られた6つの死体が都内で次々と発見される連続猟奇殺人事件が発生。鏑木鉄生率いる個性派揃いの特別捜査班4人が捜査に当たる中、一通の奇妙なメールが届く。差出人は「デッドマン」。彼は6つの死体のパーツを繋ぎ合わされて蘇った死人であると言い、自分たちを殺した犯人を暴くために協力したいというのだが……。

単行本です。
第32回横溝正史ミステリ大賞受賞作です。
菅原和也「さあ、地獄へ堕ちよう」と同時受賞ですね。
こちらにはあらすじがあった!
あらすじがあって、引用できたのはありがたかったのですが、帯そのものの - 表側 - はいただけませんね。帯は見ないで、中身を読まれたほうがよいです。

帯にある綾辻行人のコメントにもありますが、島田荘司の「占星術殺人事件」 (講談社文庫)をいやでも連想させるプロットですね。
また、記憶喪失者と思しき「僕」のパートがつづられていくあたりは、同じく島田荘司の「異邦の騎士」(講談社文庫) を連想させたりもします。
あるいは、これまた島田荘司の「眩暈」 (講談社文庫)もネタ本にくわえてもいいかもしれません。--巻末の参考文献には、「占星術殺人事件」 しか挙げられていませんがね。
これらの名作群をリスペクトして、エンターテイメントとして組み立てた趣です。出来栄えとして、これらの名作群に肩を並べたか? というとさすがに相手が大物すぎて、まだまだ、まだまだ、ですが、興味深く読めましたし、勢いもあってよかったのではないでしょうか。
導き出される最後の解決が、あまりにも読者の想定通りというか、意外感に欠けるものになっているのも、おそらくはこれらの名作群を下敷きにしたためだと思われるので、欠点だと言い募るのがためらわれます。前提にした名作が、かなり特殊なものであるがゆえに、どうしても採りうる真相が限定されてしまいますからね。
どうやってこの作品を構築したのか、を見る作品なのかも知れません。
その意味では、動機がちょっと難あり、でしょうか。一昔前ならこれでよかったのかもしれませんが、この動機で殺されたらたまったものではないな、と。
とはいえ、名作群を前にして、作者が想像の翼を拡げて、まったく新しい作品を作り上げていることには素直に感心できました。
先日の感想を書いた同時受賞の「さあ、地獄へ堕ちよう」の作者菅原和也同様、こちらも同じ手はなかなか使いにくいと思えるので、第2作が気になる作家です。
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