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七姫幻想 [日本の作家 ま行]


七姫幻想 (双葉文庫)

七姫幻想 (双葉文庫)

  • 作者: 森谷 明子
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2009/01/14
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
秋去姫、朝顔姫、梶葉姫……、七つの異称を持った七夕伝説の織女。神代の大王の怪死をめぐる幻想的な第一話から、江戸時代の禁忌の愛を描いた最終話まで、遙かなる時を隔てて女たちの甘美な罪が語られる。史実、和歌、人間ドラマという糸を縦横に組み合わせて描かれた、まさしく絢爛たる織物のような連作ミステリー!

勝手に「しちひめ」と読むのだと思っていまして、うーん、発音しにくいタイトルだなぁ、なんて考えていました。失礼。「ななひめ」でした。
デビュー作が、「千年の黙 異本源氏物語」 (創元推理文庫) ですから、こういう時代物はお手の物ですね。
タイトル通り、7つの物語が収められた短編集なのですが、
「ささがにの泉」
「秋去衣 (あきさりごろも)」
「薫物合 (たきものあわせ)」
「朝顔斎王 (あさがおさいおう)」
「梶葉襲 (かじのはがさね)」
「百子淵 (ももこのふち)」
「糸織草子 (いとおりぞうし)」
と各話の題を見ただけでも典雅な感じ。
冒頭に小学館の「日本国語大辞典」からの引用が掲げてあり、
「たなばたの七姫
織女の七つの異称である秋去姫(あきさりひめ)、朝顔姫(あさがおひめ)、薫姫(たきものひめ)、糸織姫(いとおりひめ)、蜘蛛姫(ささがにひめ)、梶葉姫(かじのはひめ)、百子姫(ももこひめ)の称」
となっています。各話にちりばめてあるわけですね。
時代も神代の頃から、江戸時代まで、順に追って展開していく趣向で、凝っています。
凝っている、といえば、各話の最後に、和歌が引用されていまして、なんとも趣き深い。和歌にふさわしく、いろいろな恋物語がつづられます。
かなり制約の多い連作だったと思うのですが、その枠内で、きちんとミステリとしてのネタも織り込んでいるのがポイント高いですね。たとえば「ささがにの泉」は密室状況ですし(とはいえ、密室の謎解きは他愛もないですが...)、「梶葉襲」などは、いかにもミステリという論理展開というか推論が盛り込まれています。
量産の効かない作風だと思いますが、時折はこういう贅沢なミステリもいいですね。
タグ:森谷明子
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