クロスカウンター 金融探偵・七森恵子の事件簿 [日本の作家 あ行]
クロスカウンター―金融探偵・七森恵子の事件簿 (光文社文庫)
- 作者: 井上 尚登
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/03
- メディア: 文庫
<裏表紙あらすじ>
元大手外資系証券会社アナリストの七森恵子は、ある事件をきっかけにフリーの金融探偵に転身した。新テクノロジー、中国の出版ビジネスなど数々の潜入調査のなかで、次第にひとりの天才詐欺師の存在に気づく恵子。相棒の如月浩二郎とタッグを組み、強大な詐欺に挑む。『T.R.Y.』など時代を映した小説で読者を虜にする作者の新たなる「コンゲーム・ミステリー」。
サブタイトルに、“事件簿”とありますが、目次をみると第1章、第2章……。
一章一章で完結するストーリーを積み重ねながら、最後でつながって一つの物語になるタイプの作品なのだろうな、とわかります。
金融探偵、と銘打たれていますが、池井戸潤のパターンと違い、銀行が舞台ではなく、企業を舞台とした詐欺を取り扱っています。
井上尚登は、デビュー作「T.R.Y.」 (角川文庫)からして詐欺を扱っていましたので、安心して(?) 読みました。
ただ、「コンゲーム・ミステリー」とあらすじに書いてしまったのはちょっと誉められません。(作者のせいではありませんが...)
“探偵”として、企業を舞台とした詐欺を暴いていく展開は、コンゲームではありませんし、とすれば、ラストでコンゲームと呼ぶにふさわしい仕掛けが待っているはずだ、と読者に余計な予断を与えてしまうからです。
さておき作品そのものは、あちこちに顔を出す悪役と、なにやら謎を秘めた依頼人... いいではないですか。
個々のストーリーも、潜入捜査中心で、ハラハラできます。
七森恵子を主人公にした物語は、続編「女神の嘘 金融探偵・七森恵子の事件簿」が光文社から今年出ています。こちらも楽しみですね。
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