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スワン・ソング [海外の作家 ま行]

ここから今年の感想です。

年末年始の休み期間中に古ーい積読本のどれかを消化しようと思って引っ張り出したのが、このマキャモンの「スワン・ソング」〈上〉  〈下〉 (福武文庫)
福武文庫って、今もあるのでしょうか? 出版社はベネッセコーポレーション(旧福武書店ですね)。特に海外作品では、結構渋いというか、貴重なセレクションをしていたような印象。ウィリアム・ディールの「真実の行方」も福武文庫でしたね。

奥付を見ると1996年。いやあ、古い! おそろしく長い積読にしていました。
当然絶版で、今 amazon.co.jp では手に入りません。いつものような感じではぼくの腕では引用ができなかったので、下のような形で書影を引用します。

スワン・ソング〈上〉 (福武文庫)

スワン・ソング〈上〉 (福武文庫)

  • 作者: ロバート・R. マキャモン
  • 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫
スワン・ソング〈下〉 (福武文庫)

スワン・ソング〈下〉 (福武文庫)

  • 作者: ロバート・R. マキャモン
  • 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫

なんか絵は大きいし、上巻の絵は横倒しになっているし(amazon.co.jp のページでの絵自体が横倒しです)、不思議です。

キング、クーンツに次ぐ、モダン・ホラー第三の男、として日本に紹介されていましたね、マキャモンは。
ホラー、ホラーした作品よりも、「少年時代」〈上〉 〈下〉 (ヴィレッジブックス)「遙か南へ」 (文春文庫)といった作品の方が評価が高かったように思います。
この「スワン・ソング」〈上〉  〈下〉 は、それらに比べると古い作品なので、作者が未だ発展途上にいる時代の作品です(原書発行は1987年)。
第1回ブラム・ストーカー賞と日本冒険小説協会大賞を受賞しています。

<裏表紙あらすじ>
第三次世界大戦勃発。核ミサイルによる炎の柱と放射能の嵐が全土を覆い尽くした。生き延びた人々を待っていたのは、放射能障害、「核の冬」の極寒、そして過去の遺物の争奪……死よりなお凄惨な狂気の世界であった。核戦争後のアメリカ大陸を舞台に繰り広げられる世界再生の鍵を握る少女スワンを巡る聖と邪の闘い。世紀末の黙示録神話を描く「超」大作巨篇。<上巻>
“輪(リング)”の浮かぶ掲示に導かれるシスター達、ロシアの来襲を妄想し狂気の軍隊を進軍させるマクリン大佐とローランド、復興に向かう人々の心を再び荒廃と狂気に引き戻さんと暗躍する「深紅の目の男」、あらゆる者たちの運命の糸が、次第にスワンのもとに集められていく……果たして世界の行方はいかに。ホラーの枠を超えたマキャモンの現代の聖杯伝説はここに円を閉じる。 <下巻>

非常に分厚い上下巻ですが、退屈しませんよ。特に下巻は、ページを繰るのがもどかしいほどでした。
核戦争後の世界での正邪の対決、って、まあ手垢のついたアイデアですし、特殊な能力を持った少女とそれを守る人々(こちらは普通の人たち)、というのも、ありふれた話です。
ただ「B級グルメが話題になり人気を集めるように」といったら失礼かもしれませんが、わりとよくある話を、盛りだくさんな内容でリーダビリティ抜群に仕上げられていまして、とてもおもしろいです。
ラストも、お約束、といったら叱られるでしょうか? わかりやすいところへ、わかりやすく着地します。でも、それがいいのです。
普通の人たちが、力を合わせて、悪い集団(しかも人間じゃなかったりもします)に立ち向かっていく、そして勝利する。核戦争後の荒廃した世界に、きっちりと希望の光が差し込んでくる、こんな素敵な話があるでしょうか。
タイトルは、主人公である少女の名前がスワンだから、スワン・ソング、なのですが、一般的にスワン・ソング(=白鳥の歌)といえば、「死ぬまぎわに白鳥がうたうという歌。その時の声が最も美しいという言い伝えから、ある人が最後に作った詩歌や曲、また、生前最後の演奏など」を指す語なので、「生前最後」だと、スワンは死んでしまうんだろうなぁ、と思いながら読んでいました。結果どうだったかは、読んでのお楽しみ、です。

もっと早く読めばよかった。
ちょっと今となっては入手困難かもしれませんが、どこかでお手に取る機会があれば、ぜひ、ぜひ。




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