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ヨコハマ B-side [日本の作家 加藤実秋]


ヨコハマ B-side (光文社文庫 か 52-1)

ヨコハマ B-side (光文社文庫 か 52-1)

  • 作者: 加藤実秋
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/13
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
横浜駅西口ビブレ前広場でティッシュ配りをしているチハルは埼玉生まれの埼玉育ち。横浜に憧れて片道二時間近くをかけ、通勤している。一方、外見もダサく、使えない新人バイトの山田は生粋の横浜育ち。広場で出会った中年男から結婚相談所で紹介された女性が失踪したと相談を受けた二人は?(「女王様、どうよ?」)。広場に集まる若者たちの疾走を描く青春群像小説!


「インディゴの夜」 (集英社文庫)シリーズの加藤実秋のこの作品の舞台は横浜。
連作ですが、各話ごとに主人公が入れ替わっていきます。
つまり、さまざまな若者を描くと同時に、横浜という街を描いています。
横浜といっても、おしゃれな港町のイメージの部分ではなく、「足下のドブ川から磯の香りが漂い、カモメの姿が見られる以外は日本中どこにでもある、ありふれて猥雑な繁華街」(P11)という横浜駅西口繁華街を中心エリアです。
いつものことですが、この作者、若者を描くのがとてもうまいと感心します。作者紹介を見れば1966年生まれとのことですから、年齢差はあるでしょうに、同じ目の高さで書かれているように思います。すばらしい。

全体を通すエピソードとして「パニッシャー」と呼ばれる通り魔(?) というか、仕置き人の正体をめぐるストーリーがあり、ラストでその正体が明かされる構図になっています。とはいえ、ミステリー味はごくごく薄目です。ミステリーということを意識しなくてもよいのかもしれませんね。
ラストももうひとひねりもふたひねりもできそうですし、またミステリとしてなら、ひねってしかるべきところですが、作者はそんなこと百も承知であえてひねらず、テーマにあわせて直球で勝負してきたんだろうな、という気がしています。
この登場人物たちにまた会ってみたいですね。続編書いてくれないかな?


タグ:加藤実秋
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