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オランダ靴の謎 [海外の作家 エラリー・クイーン]


オランダ靴の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

オランダ靴の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: エラリー・クイーン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
〈オランダ記念病院〉 の創設者である大富豪の老婦人が、緊急手術の直前に針金で絞殺された。たまたま病院に居合わせた作家エラリーの指図で事件現場はただちに保存されるが、検証を進め関係者の証言を総合しても、手術着姿の犯人の正体は皆目つかめない。やがて再び病院内で殺人が……! 犯人当てミステリの最高峰として歴史に名を刻む 〈国名シリーズ〉第三作。


国名シリーズの新訳、
「ローマ帽子の謎」 (創元推理文庫)(ブログ感想へのリンクはこちら
「フランス白粉の謎」 (創元推理文庫)(ブログ感想へのリンクはこちら
に続く第3弾、「オランダ靴の謎」 です。
国名シリーズというと、「エジプト十字架の謎」 (創元推理文庫)「ギリシア棺の謎」 (創元推理文庫)が高名で、「オランダ靴の謎」 は陰に隠れた感じで不満だったんです。
解説で法月綸太郎が
「副業時代の最後の作品である『オランダ靴の謎』 が、《読者への挑戦》小説の最高峰として、クイーンの数多い作品群の中でも別格の地位を誇っている」
と書いていてうれしくなりました(この解説、素敵ですよ)。ちゃんと認められているんだな、と。
ちなみに、もう一つ好きなのは、「スペイン岬の謎」 (創元推理文庫)だったりします。

さて、「オランダ靴の謎」 です。
キーとなる手掛かりは、タイトルにも明示されている通り、靴、です。
この靴をめぐる推理、結構細かい部分まで覚えていました。それだけ旧訳で読んだ時の印象が強烈だったということですね。
あと、章題が “~tion” で統一されていることや、途中で読者がメモを取っていけるようにページの下が余白になっている部分があること、も覚えていました。もちろん、読者への挑戦も! 理詰めのミステリなんだけれど、いや、理詰めのミステリだからこそ、遊び心があちこちにうかがえるところがお気に入りでした。
そして、なんといっても犯人指摘の瞬間。
本格ミステリにおいて、犯人指摘はドラマチックな見せ場ですが、この作品のその瞬間は手がかり(キーポイント)と結びつき一体化した、とびきりの幕切れだと今回改めて感じました。
派手派手しい展開はありませんが、本格ミステリらしいわくわくを強く強く楽しめる傑作です!


P.S.
靴をめぐるポイントとして、靴紐を絆創膏でつないでいる、というところがあります。
絆創膏というと、どうしてもバンドエイドのような救急絆創膏(粘着部のシートの中央部に不織布製のパッドが取り付けられたもの)を連想してしまって、それで靴紐をつなぐとなると違和感を覚えるのですが、パッドのないサージカルテープのようなものも本来絆創膏と呼ぶのですね...
なんでも不思議に思ったら調べてみるもんですね。子供のころからの疑問が一つ解消しました。


原題:The Dutch Shoe Mystery
作者:Ellery Queen
刊行:1931年



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