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天王船 [日本の作家 あ行]


天王船 (中公文庫)

天王船 (中公文庫)

  • 作者: 宇月原 晴明
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
天文十七年夏。宵祭を楽しむ十五歳の信長の眼前に、見慣れぬ船が現われた。数百の提灯に彩られた船上から、甘い唄声と異形の舞が信長を密やかな剣戟に誘う(表題作)。
――松永久秀と斎藤道三をペルシア渡来の暗殺秘術の兄弟弟子として描き、戦国史を異形の活躍で彩った刮目の長篇『黎明に叛くもの』の外伝四篇を収録。


解説で末國善己が簡潔に本書の成立過程と中身を書いてくれています。
「本書『天王船』は、二〇〇三年に刊行された『黎明に叛くもの』を、翌年四分冊のノベルス版にした時に、各巻に付けられた書き下ろし短篇四作をまとめたものである。そのため、『黎明に叛くもの』の外伝的な性格を持ち合わせているが、松永久秀(弾正)、織田信長、豊臣秀吉などを主人公にした異色の戦国短篇集として読んでも十分に楽しめるようなっている」
「本書『天王船』に収められた四作は独立した物語になっているが、「隠岐黒」が『黎明に叛くもの』の外伝、「天王船」が 『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』 と共通のモチーフを描き、「神器導く」が『聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)』の間に秀吉が遭遇した超常現象を題材にし、「波山の街-『東方見聞録』異聞」が『安徳天皇漂海記』 とほぼ同時期のマルコ・ポーロを主人公にするなど、ほかの宇月原作品とも緩やかに繋がっている。」

「信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」 (新潮文庫)
「聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ)」 (新潮文庫)
「黎明に叛くもの」 (中公文庫)
と、相応の大作で読み進んできた宇月原作品。いずれもとっても楽しい伝奇時代小説ですが、この「天王船」は薄い短編集です。
それぞれの諸作との連関もありますし、分厚い作品の多い宇月原作品にしり込みしている方も、この「天王船」を入り口にひも解いてみるのがいいかもしれません。
雄大な長編でも、コンパクトにまとめられた短編でも、宇月原晴明独特の奇想というか、幻術は味わうことができます。
ミステリー作家以外で追いかけ続けている数少ない作家として、今後もフォローしていきたいです。



タグ:宇月原晴明
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