Q.E.D.証明終了(31) [コミック 加藤元浩]
Q.E.D.証明終了(31) (講談社コミックス月刊マガジン)
- 作者: 加藤 元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/10/17
- メディア: コミック
この第31巻には「眼の中の悪魔」と「約束」の2つの話が収録されています。
「眼の中の悪魔」は論文の捏造疑惑を扱っています。
その中で、「書かれた論文のほとんどに有効な成果がなく、アメリカなどでは大発見騒ぎはなかったかのように『努力した人』という曖昧な理由で名前を残している」野口英世のエピソードを例に出して、科学者の眼の中に入る悪魔の話が出てきます。これがタイトルの由来。
「見たいと願うものを現実にあるかのように見せてくれる」悪魔。
燈馬が真相を見破るのは、映像の手がかりなのですが、同時にマンガならではのミス・ディレクションが生かされているように思えてGOODでした。
たとえ話で出てくる最後(最期?)の執刀医の話も含蓄深い。
年老いて動けなくなった自分への最後の手術をするため現れる医者が自分だ、というもので、
「『金儲けが一番』
『仕事は生活のために稼ぐだけ』
『下手でも心がこもっていればいい』…
そう思って生きてきた人間の前にはそれぞれそういう価値観を持った医者が現れる」
「文句は言えんよ 自分自身だからな」
ドキリ。
闇はあっても、それに染まらなければいい、というアドバイスと共に、ちょっと考え込まされますね。
「約束」は、登山が扱われています。
犯人は結構見え見えなんですが、非常に秀逸なミス・ディレクションが仕掛けられていて楽しめます。
こういうミステリをコミックスで読めるなんて、幸せ。
泡坂妻夫や連城三紀彦みたいと言ったら、ほめ過ぎでしょうか?
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