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化学探偵Mr.キュリー [日本の作家 喜多喜久]


化学探偵Mr.キュリー (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/07/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
構内に掘られた穴から見つかった化学式の暗号、教授の髪の毛が突然燃える人体発火、ホメオパシーでの画期的な癌治療、更にはクロロホルムを使った暴行など、大学で日々起こる不可思議な事件。この解決に一役かったのは、大学随一の秀才にして、化学オタク(?) 沖野春彦准教授――通称Mr.キュリー。彼が解き明かす事件の真相とは……!?

積読にしている間に、次作の「化学探偵Mr.キュリー2」 (中公文庫)が出ちゃったので、あわてて(?) 読みました。
「化学探偵と埋蔵金の暗号」
「化学探偵と奇跡の治療法」
「化学探偵と人体発火の秘密」
「化学探偵と悩める恋人たち」
「化学探偵と冤罪の顛末」
の5話収録の作品で、2013年7月に文庫書き下ろしで刊行されました。
しかし、大学の准教授である沖野春彦をMr. とは、ちょっと???です。ずっと研究をしてきた人で准教授だったら、博士号くらいとっているでしょうから、 Mr. ではなく Dr. とせねばならぬのでは? 名づけたのが大学の職員、しかも庶務課の課長をやるくらいのひとだったら、自分の大学の先生を Mr. とは呼ばないと思います。素人向けにわかりやすくしたのでしょうか? Dr. でも十分わかりやすそうですけれど。
さておき、化学探偵ってコンセプトは、物理学者であるガリレオの二番煎じっぽいですが、あちらよりもはるかにはるかに軽~い作品に仕上がっています。「ラブ・ケミストリー」 (宝島社文庫)「猫色ケミストリー」 (宝島社文庫)の喜多喜久ならでは、です。
帯に「製薬会社現役研究員の著者が贈る、至極の化学ミステリ!」とありますが、ほとんど化学っぽくないというか、化学ならでは、という作品がなかったのがちょっと残念。
Dr. ではなく Mr. としたことも含めて、化学には縁遠い読者に配慮されたのかもしれませんが、専門知識の乱舞というのでさえなければ、読者なんてわからなくてもなんとなくわかった気になって読んでいくものなので、もう少し化学寄りに設定されてよかったのでは、と思いました。

なかでは人体発火に強烈な(?) 動機を組み合わせた「化学探偵と人体発火の秘密」と、クロロホルムを使って意識を奪われたという証言から、窮地に陥ったアイドルを救う(「クロロホルムで麻酔を掛けるためには、少なくとも十分以上は気化させたクロロホルムを吸入させなければならない」らしいです)「化学探偵と冤罪の顛末」が面白かったですね。
「化学探偵Mr.キュリー2」もすでに買ってあるので、そのうち読みます!

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