機龍警察 [日本の作家 た行]
<裏表紙あらすじ>
大量破壊兵器の衰退に伴い台頭した近接戦闘兵器体系・機甲兵装。『龍機兵(ドラグーン)』と呼ばれる新型機を導入した警視庁特捜部は、その搭乗要員として姿俊之ら3人の傭兵と契約した。閉鎖的な警察組織内に大きな軋轢をもたらした彼らは、密造機甲兵装による立て篭もり事件の現場で、SATと激しく対立する。だが、事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた……“至近未来”警察小説を描く実力派脚本家の小説デビュー作!
この文庫本を買って積読にしてぼやぼやしている間に、「機龍警察〔完全版〕」 (ハヤカワ・ミステリワールド)なんてものが出てしまいました。
なので、この感想は文庫本である旧版のものです。
あらすじにもありますが、警察で機甲兵装に搭乗してうんぬんかんぬんって言ったら、これはゆうきまさみの「機動警察パトレイバー」 (小学館文庫)ではありませんか。ああ、懐かしい。
しかし、コミックではない、小説で? うーん、と思って読みましたが、いや、ちゃんとおもしろかったですね。
付け加えておくと、(当然ながら)「機動警察パトレイバー」とはテイストがずいぶん違います。
機甲兵装は「龍機兵」
特捜部がSIPD (Special Investigators, Police Dragoon)
警察小説の枠組みで書かれているのがまず第一のポイント。
そしてその機甲兵装(警察の隠語では、キモノ)に乗るのが、傭兵--すなわち警察プロパーでないというのが第二のポイントですね。
正直読む前は、アクションに傾斜した雑なつくりの小説かも、なんて思っていたのですが、たいへん失礼しました。
定型といえば定型かもしれませんが、3人の傭兵が過去も含めそれなりに描かれていて(それなり、というのは巻を追うごとにもっともっと深掘りされていくのだろうなと思えたからです)、既存の警察組織や警察官との摩擦もきちんとフォローされています。
そして、魅力は文体ですね。きびきびしていて、心地よいテンポ。緊迫したシーンと、緩んだシーンの緩急もついて、リズムよく読めます。
これらのことが、第1章(この文庫で62ページまで)を読むだけでわかります。
派手な戦闘は冒頭とラストだけで、途中はちゃんと警察捜査になっているのも、ミステリ好きにはポイント高い。
とても面白かったですが、この「機龍警察」は、
「機龍警察 自爆条項」〈上〉 〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)
「機龍警察 暗黒市場」 (ミステリ・ワールド)
「機龍警察 未亡旅団」 (ハヤカワ・ミステリワールド)
「機龍警察 火宅」 (ハヤカワ・ミステリワールド)
と続いていくシリーズの導入部、いわばご紹介といった感じなので、続きを読むのが楽しみです!
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