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ばけもの好む中将 平安不思議めぐり [日本の作家 さ行]


ばけもの好む中将―平安不思議めぐり (集英社文庫)

ばけもの好む中将―平安不思議めぐり (集英社文庫)

  • 作者: 瀬川 貴次
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
十二人の姉が居る以外は、ごく平凡な中流貴族の宗孝。御所に鬼が出たという噂を聞き、仲間たちと度胸試しで確かめに行くが、そこに居たのは怪異を愛する変人と名高い名門貴族・宣能(のぶよし)だった。なぜか彼に気に入られてしまった宗孝は、彼と共に鬼の正体を追うことに。結局、人の仕業とわかって落胆する宣能だったが、その後も続く怪異の裏には、とある陰謀が隠れていて……。新感覚、平安冒険譚!


この本を買ったとき、すでにシリーズは第3巻まで出ていました。
「ばけもの好む中将 平安不思議めぐり」 (集英社文庫)
「ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼」 (集英社文庫)
「ばけもの好む中将 参 天狗の神隠し」 (集英社文庫)
時代物だし、怪異はあってもミステリとは違うみたいだし、いつもならスルーする本なのですが、ふと手に取って、表紙袖の作者紹介を見てびっくり。
「また、瀬川ことび名義での著書に『お葬式』『妖霊星』 などがある。」
えっ、瀬川貴次って、瀬川ことびだったの?
瀬川ことびだったら、第6回日本ホラー小説大賞短編賞佳作を表題作とした
「お葬式」 (角川ホラー文庫)
から始まって、
「厄落とし」 (角川ホラー文庫)
「夏合宿」 (角川ホラー文庫)
「7」 (角川ホラー文庫)
と読んでいます。
ホラーなんだか、ユーモアなんだか、かなり特異な作風で、好みでした。
これは、読まねば! そう思って、即購入。
「お葬式」 などのことび名義の作品とはちょっと趣が違いますが、楽しめました。
まずは、若い人向けということだから、かもしれませんが、キャラクターですね。
「生まれもよし、見た目もよしで、なんの不足も不満もないはずなのに、どうして宣能は化け物にこれほど入れあげるのか。」(134ページ)と宗孝に言われる宣能と、宣能に引っ張りまわされる宗孝の組み合わせがポイントですね。
そして、宗孝の大勢の姉たち。
そして、怪異だ、妖異だといいながら、人間の企みが隠されているのを暴いていくのですから、薄味とはいえ、これはミステリでもあるのです!!
もうちょっと大仕掛けの陰謀だとより楽しめると思いましたが、これはこれでよし、でしょう。
いまのところ、「ばけもの好む中将 四 踊る大菩薩寺院」 (集英社文庫)まで出ているようで、今後のシリーズに期待します。


<蛇足>
わざと現代風の言い回しを登場人物にさせている部分もあって(解説で大矢博子も指摘していますが)、それもまた楽しなのですが、
平安時代の人間が
「とんでもありません」(133ページ、259ページ)
と言うのはまずいと思います。
校正でチェックしてあげればいいのに。





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