鼠、地獄を巡る [日本の作家 赤川次郎]
<裏表紙あらすじ>
弱きを助け強きを「盗む」
その者、大泥棒、鼠小僧次郎吉。
壱、妹、小袖と〈地獄〉で湯治。人気役者と若い妻に出合い事件が。「鼠、地獄を巡る」
弐、幼い娘を残し、貧乏長屋で腹を切った浪人。驚くべきその理由とは。「鼠、腹切り長屋を覗く」
参、そば屋の女房に頼まれ同行した山奥の村。不穏な空気が充ち満ちて。「鼠、山道に迷う」
肆、大名屋敷で男女の逢引き。男が斬られる場に居合わせた「鼠」だが。「鼠、今宵は月明かり」
伍、大店の旦那が女と心中? 見つけた娘に災難が降り懸かる。「鼠、戸を開ける」
陸、目が不自由ながらも腕の立つ姉とその妹。同じ男に惚れてはいるが。「鼠、闇に数える」
シリーズ第9弾で、今年の3月に出た単行本です。
この第9巻も、第8巻同様、上で引用したあらすじ(?) にもあるように六話収録です。
帯の惹句がいいです。
『「鼠」、今宵も人情の糸が絡まる謎を解く!』
なるほどね。
人情話に仕立てられているわけですが、やはりポイントは長屋暮らしの次郎吉のこと、いわゆる庶民目線である、というところでしょう。
侍だったり、歌舞伎役者だったり、大店の関係者だったり、庶民とはかけ離れた人たちの事件を、庶民目線で語っていく、というベースがしっかりしているからこそ、すっきりした話に仕上がっているのだと改めて思います。
ちょっとあっさりしすぎている感もあるのですが、ただただいたずらに長々と物語る癖のあるほかの作家に学んでほしいかも...
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