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新参者 [日本の作家 東野圭吾]


新参者 (講談社文庫)

新参者 (講談社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。


自分でも意外に思ったのですが、加賀恭一郎ものの感想を書くのは初めてなんですね...
「このミステリーがすごい! 2010年版」第1位、2009年週刊文春ミステリーベスト10 第1位です。
ちなみに、「2010 本格ミステリ・ベスト10」 では第5位です。

長編という体裁ですが、
第一章 煎餅屋の娘
第二章 料亭の小僧
第三章 瀬戸物屋の嫁
第四章 時計屋の犬
第五章 洋菓子屋の店員
第六章 翻訳家の友
第七章 掃除屋の社長
第八章 民芸品屋の客
第九章 日本橋の刑事
という章立てになっており、全体で一つの事件の捜査でありながら、個々の章ではそれぞれ章のタイトルになっている人物にまつわる「日常の謎」的な小さな謎を解いていく、という構成になっています。各章が緩やかに繋がって、ラストで事件を解きほぐす、というかたち。

日本橋警察署に練馬署から異動してきたばかりの加賀が事件を解決するわけですが、事件を解決していくと同時に、実は9章かけて、細切れに、じっくりと加賀を描いた作品というかたちにもなっています。
つまり主人公は加賀。
いや、探偵役なんだから主人公に決まっているだろう、というツッコミをもらいそうですが、ミステリにおける探偵役って、傍観者というかメインの人物じゃないことが結構ありますよね。
事件を描くのが主目的であって、主人公の人物像は、まあ、おまけ。
でも、この作品は違います。
読後感は、事件の方がおまけみたい。(おまけ、というには贅沢に趣向が凝らされていますけど)
加賀をどう描くか、を考えたときに、東野圭吾はこの作品の構成を思いついたんじゃないかなぁ、なんて思ったりしました。
だからこそ、タイトルは「新参者」なんだよな、と一人で納得したりして。

その意味では、一般に褒められている日本橋・人形町界隈の下町情緒も、加賀を描くための道具なんですよ。ふふふふふ。


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野良猫

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