僕は君を殺せない [日本の作家 は行]
<裏表紙あらすじ>
夏、クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加し、最悪の連続猟奇殺人を目の当たりにした『おれ』。最近、周囲で葬式が相次いでいる『僕』。--一見、接点のないように見える二人の少年の独白は、思いがけない点で結びつく……!! すべての始まりは、廃遊園地にただよう、幼女の霊の噂……? 誰も想像しない驚愕のラストへ。二度読み必至、新感覚ミステリー!!
問題:だれが「僕」で、だれが「君」でしょう?
2015年度ノベル大賞受賞作らしいです。
帯がかなり煽っています。
いわく「二度読み必至!!」
いわく「誰も想像しない驚愕のラストへ!」
本書でいちばん驚いたのは、この本が短編集だったことでしょうか(笑)。
ノベル大賞、っていうから、長編だと思い込んでいたからです。
本書は表題作の他、「Aさん」「春の遺書」の2編を収録した短編集です。
と書いたことからおわかりのように、「二度読み必至」とは思いませんでしたし、「驚愕のラスト」とも思いませんでした。
実は、冒頭に掲げられた表題作を読み終わってもまだ、ストーリーが続くと思ったんですよね。
ところが続く「Aさん」は別の話で...あれっ? ここで「僕は君を殺せない」は終わりなんだ...
でも、感想はどうだったか、と聞かれると、おもしろかった、となります。
設定とか、二つの世界の接点とかは正直平凡だな、と思いましたが、少なくとも、「新感覚」という部分は楽しみました。
ミステリーに拘らずに、作品を書かれていけばよい作家だと思います。
それが証拠に(?)、続く「Aさん」「春の遺書」はミステリーではありません。
謎、は出てきますが、ミステリー、推理小説ではない扱いです。
表題作も含め、淡々とした印象でありながら、透明感があります。透明感といっても、透き通った透明感というよりは、すりガラスの透明感(いや、それは透明じゃないと言われそうな変な表現なんですが)、そう言いたくなるような不思議な手触りは、強く印象に残っています。
また新刊が出れば買ってしまうかもしれません。
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B5/500世代の読了日記
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