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うそつき、うそつき [日本の作家 さ行]


うそつき、うそつき

うそつき、うそつき

  • 作者: 清水 杜氏彦
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: 単行本


<表紙袖あらすじ>
国民管理のために首輪型嘘発見器の着用が義務付けられた世界。非合法の首輪除去技術を持つ少年フラノは、強盗犯、痣のある少女、詐欺師、不倫妻、非情な医者、優しすぎる継母など、様々な事情を抱えた人々の依頼を請けて日銭を稼いでいた。だが彼には密かな目的があった。ある人のために特殊な首輪を探しだして、外すこと。首輪には複数のタイプがあり、中でも、フラノに技術を仕込んだ師匠ですら除去法を教えられず、存在自体ほとんど確認されていない難攻不落の型こそ、フラノが探す首輪・レンゾレンゾだった。レンゾレンゾを求めることがやがてフラノを窮地へ追いやり、さらには首輪に隠された秘密へと導いてゆく。人はなぜ嘘をつき、また真実を求めるのか。フラノが辿り着いた衝撃の結末とは?
近未来の管理社会を生きる少年の苦悩と成長を瑞々しい筆致で描く、ディストピア青春ミステリ。小説推理新人賞とダブル受賞でデビューした超大型新人による、第5回アガサ・クリスティー賞受賞作。


単行本です。
第5回アガサ・クリスティー賞受賞作。
ディストピアという語も上↑のあらすじには出てきますが、SF的設定を用いています。
正直、この設定、かなり疑問だらけ。
でも、まあ、この種の作品はそういうものだ、として読むのがよいのでしょう。
むしろ、その設定が効果的に使われているか、という方を気にしないといけないのでしょうね。
嘘発見器が常につけていて、他人がこちらの嘘を見抜いてしまうという状況で生まれ育つと、だいぶ人間の行動も変わってくると思うのですが、そういうような部分は読み取れませんでした...

この作品は、「首輪外し」を繰り返していくわけで、連作短編のようなテイストになっています。
後半はフラノ自身の物語としてまとまっていきます。
主人公フラノの現在と過去を交互に重ねて描いていくので、この構成はおもしろかったですね。

「首輪外し」は人助けでありながら、同時にその人を殺してしまう可能性を強く持っている設定が、フラノに与える影響が読みどころですね。
もともと少年少女の成長物語的なストーリーが好きなので、この作品には点が甘くなりますが、フラノのラストは予定調和でありながら、衝撃的で気に入っています。
しかし、このディストピア、何を目指したんでしょうか。

ただ、アガサ・クリスティー賞はどこに行ってしまうのでしょうか? 気になりますね。
アガサ・クリスティー自体、本格ミステリだけではなく、さまざまな作品を書いていましたので、本格ミステリでなければならない、とは思いませんが、これまでの5年間で、本格ミステリーは「致死量未満の殺人」 (ハヤカワ文庫JA)1作だけ、残りの4作はいずれも癖球ばかり、というのはミステリ好きとしては寂しいです。
普通のミステリーでも、十分おもしろい、というのがアガサ・クリスティの王道だと思いますから、彼女の名を冠した賞もそうだといいのになぁ、と思います。




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