SSブログ

C.M.B.森羅博物館の事件目録(27) [コミック 加藤元浩]


C.M.B.森羅博物館の事件目録(27) (講談社コミックス月刊マガジン)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(27) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/10/17
  • メディア: コミック

<帯あらすじ>
世界的家電メーカーが主催する恐竜展に、脅迫メールが届いた。文面は会場の爆破予告、猶予は残り2時間半。しかし、犯人は何も要求してこない。テロか、怨恨か、愉快犯か――? 恐竜展を監修していた森羅と立樹が、爆破のタイムリミットに挑む!

この第27巻は、
「アステカのナイフ」
「爆破予告」
「幸運」
の3話に、番外編として『M.A.U. “ブラックマーケットの魔女”の事件目録』
「大入道の屏風」
が収録されています。

「アステカのナイフ」は冒頭に、久しぶりにヒヒ丸が出てきて、もうそれだけで満足なのですが、事件のほうも気に入っています。
アンティーク好きのコレクターが、アステカ人の犠牲式のナイフで殺され、元妻が逮捕される。息子の依頼を受け、森羅が事件解決に乗り出す。
返り血を浴びずに刺し殺す方法も素晴らしいのですが、この作品の場合は事件全体の構図が素晴らしいですよね。
アガサ・クリスティーあたりが書いていてもおかしくないような。
ただ、惜しいなと思ったのは、森羅が繰り出す決め手。いわゆる「犯人しか知りえない事実」を突きつけるという定番なのですが、これ、「犯人しか知りえない事実」にはなっていないような気がしてならないのです......

「爆破予告」
森羅が監修する恐竜展に爆破予告、という穏やかならぬ展開。
気になる点があります。
まず、横領の金額。317万円という金額で横領をするでしょうか? 大金には違いありませんが、世界的家電メーカーという設定だと、ちょっと疑問符がつきます。
あと、さすがにこんなぺらっぺらの人物、出世しないですよ......
とはいえ、
「犯人はなぜこんな夜中に事件を起こしたのか?」(脅迫メールが届くのが21:30)
という森羅の問いかけから導かれる事件のほうは素晴らしい。面白い狙いの犯罪でよかったです。
もっとも、森羅がいなくても、あるいは見抜く人物がいなくても、最終的に犯人の狙いは残念ながら成功しないものである点は指摘せねばならないとは思いますが......残念ながら。

「幸運」は、とても大胆な犯行がポイントでしょうか。
大胆すぎてうまくいかない気がしてなりませんが(笑)。
主人公である社長が最後に抱く感慨は、あまりにも定型的すぎて、ちょっと白けてしまいました。

そして番外編「大入道の屏風」は、マウが主人公。
この前マウが主役をつとめたのは、「C.M.B.森羅博物館の事件目録(24)」 (講談社コミックス月刊マガジン)(感想ページはこちら)収録の「箪笥の中の幽霊」以来ですね。マウ主人公のお話も時々読みたいのでありがたいです。
タイトルにもなっている肝心かなめの「大入道」の仕掛けが、あまりにも常識的でありきたりなのが興ざめですが、この作品のポイントは、マウのセリフの数々ですよね。
「少しは頭使って考えなさいよ!」
いいです!
考えてます、と言い返した部下たちに
「違う!
 あんたたちは周りが自分の思う通りになるのを待ってるだけ
 現実がどうしようもないときに知恵を絞ってなんとかするのが『考える』ってことよ!」
カッコいい。耳が痛いですが、真実ですね。
ただ、これも揚げ足とり、ですが、ラストで、大入道もカワギシの手腕によるもの、とマウは解釈していますが、それ以前の回想シーン?では、偶然の産物に見えますね......これも、マウの思考、信念を反映したもの、と解釈できるので、大きな欠点ではないと思いますが。



タグ:CMB 加藤元浩
nice!(18)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 18

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。