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女王はかえらない [日本の作家 は行]



<カバー裏あらすじ>
小学三年生のぼくのクラスでは、マキが女王として君臨し、スクール・カーストの頂点に立っていた。しかし、東京からやってきた美しい転校生・エリカの出現で、教室内のパワーバランスは崩れ、クラスメイトたちを巻き込んだ激しい権力闘争が始まった。そして夏祭りの日、ぼくたちにとって忘れられないような事件が起こる――。伏線が張りめぐらされた、少女たちの残酷で切ない学園ミステリー。


読了本落穂拾いを5冊したので、通常の感想に戻るタイミングかなとも思いましたが、あと1冊続けます。
第13回 『このミステリーがすごい!』大賞の関連作の感想を続けましたので、いよいよ受賞作「女王はかえらない」 (宝島社文庫)です。

優秀賞である
辻堂ゆめ「いなくなった私へ」 (宝島社文庫)
神家正成「深山の桜」 (宝島社文庫)
を抑えての大賞受賞ですから、期待も高まるというものです。

予備知識なしで読むのがいいとはわかっているのですが、つい見てしまうのが、あらすじや帯。
スクール・カーストとか教室内のパワーバランスとか、なかなかおもしろそうだし。
この少女たちの争いを描いた第一部はとてもおもしろかった。
ページ数が半分くらいのところに来て、衝撃的な展開となり、第二部へ。

第二部は一転、教師の視点になります。
正直、あれれ、と思ってしまったんですよね。
せっかくの緊迫感も薄れてしまい、ちょっと脱力。
第一部のままの視点、トーンで行ってほしいな、と思いながら読みました。同時に、ちょっと嫌な予感を抱きつつ。

そして最終の第三部。
帯で「やがて予想もできない結末へ!」と煽っているのが、残念ながら逆効果。
嫌な予感的中です。

先に作者を弁護しておくと、非常によく考えられていて、細かい点まで気を使って書かれています。
解説で引用されている選評の中では、吉野仁の
「小学校でのいわゆるスクールカーストやいじめといった題材自体はなんら目新しくないし、すでにお馴染みのトリックが多用されている。しかしながら、ぐいぐいと読ませる文章力をそなえており、物語の行方を追わずにはいられなかった」
という評が非常に的確に思えます。

ただ、個人的には、題材が目新しくなく、お馴染みのトリックが多用されている、という点で、ほかの選考委員のようには絶賛することはできないな、と思ってしまいました。



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