SSブログ

はじめましてを、もう一度。 [日本の作家 喜多喜久]


はじめましてを、もう一度。 (幻冬舎文庫)

はじめましてを、もう一度。 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2021/04/08
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
「付き合ってください」。高校二年のリケイ男子・北原恭介は、クラスの人気者・佑那から突然、告白された。断ったら、夢のお告げで、俺は「ずばり、死んじゃう」らしい。思いがけず始まった、謎だらけの関係! しかし自然と想いは深まっていく。だが、夢の話には裏が――。彼女が言えずに抱えていた、重大な秘密とは? 泣けるラブ・ミステリー。


2022年2月に読んだ3作目(冊数でいうと5冊目)の本です。

本書
『「くだん」という単語をご存じだろうか。漢字だと、「件」と書く。』
というフレーズで始まります。
妖怪の「くだん」
「そいつは、人の顔と牛の体を持つ。人間の言葉を話し、生まれてから死ぬまでの数日の間に、戦争や洪水、流行病などの重大事に関する予言を残すという。そして、それらの予言は見事にすべて的中するそうだ。」(7ページ)

この予言に従う牧野佑那(まきのゆうな)から付き合ってくれと言われた高校生・北原恭介の視点で物語がつづられます。
まあ「くだん」なんて信じられないわけで、半信半疑というかほぼ疑で付き合うことに同意した恭介ですが......
と、この出だしだけで、物語の行く末の想像がついてしまう話でして、それ以上でもそれ以下でもない。
”彼女が言えずに抱えていた、重大な秘密” というのが最後に明かされるわけですが、ちょっとひねりが足りないですね、と思うのはミステリファンだからでしょうか?
喜多喜久ファンとして楽しく読みはしましたが、大きな不満が残る作品でした。

第1章の最初の小見出しが
2838+1――【2017.3.28(火)】
そのあとが
2848――【2017.4.6(木)】
2887――【2017.5.15(月)】
となっていっているので、数字部分が日付をカウントしていっていることがわかります。
単行本時のタイトルは、『「はじめまして」を3000回』で、このカウントに注意を惹きやすいものでした。
それが文庫化に際して「はじめましてを、もう一度。」に変更されて、少々わかりにくくなりました。
数字をさかのぼって、1(あるいは0)はいつか確認していません。
この物語の構成で、きりのいい 3000 という数字になっていることには少々不満ですので、3000を表に出さない改題は正解だと思います。

そして、改題されたタイトルの由縁はラストシーンだと思われますが、うーん、どうなんでしょうか?
これをハッピーエンドと捉えてよいものかどうか。

最後に、この本には解説がついていますが、鑑賞の妨げになるので事前に読まない方がよいと思います。




タグ:喜多喜久
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 11

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。