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たそがれの侵入者 [日本の作家 赤川次郎]


たそがれの侵入者 (フタバノベルズ)

たそがれの侵入者 (フタバノベルズ)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2022/05/19
  • メディア: 新書

<カバー袖あらすじ>
ふたりの「あすか」の奇妙な出会いは人々の運命を少しずつ変えていく
裕福な暮らしをする野々山あすかと、窃盗をくりかえし裏社会で生きる久米明日香。あすかが友人と話している場所に偶然居合わせた久米は、高級老人ホーム「いこいの園」の存在を知る。侵入を企む久米だsったが、昔の仲間の不穏な動きや事件により、事態は思わぬ方向へ──
事件に次ぐ事件の裏で、家族愛や恋愛が絡み合う長編サスペンス。



9月に読んだ最後の本です。
赤川次郎のノンシリーズ長編です。
出る新刊がほぼシリーズものばかりという最近の赤川次郎には珍しいノンシリーズもの。
2020年2月に出た「恋ひとすじに」 (フタバノベルズ)(感想ページはこちら)以来ですね。

主人公格の二人の名前が同じ「あすか」。
富豪と泥棒という取り合わせ。
いかにも赤川次郎、という設定で、出だしからいかにも赤川次郎だなと思いながら読み進んでいったのですが、最近の赤川作品にはない、初期作を思わせる登場人物、展開に少々ぞくりとしました。

以前にも書いたことですが、最近の(といってももう20年近くになります)赤川次郎は、道徳的な主張が全面に出てくるようになっていて、ストーリー展開も似たり寄ったりで予想がつきやすく、喰い足りないものが多くなってきていました。
あまりにも広範に読者を獲得し、しかも若年層が多いということから、自らの作品の持つ影響力を考えて意識的にそういう選択をされているのだ、と思いますが、残念に思っていたところです。

ところがこの作品は、その殻が破られています。
いいではないですか。
初期の赤川次郎はこういうのもあったよな、とうれしくなってしまいました。
作中で描かれるのは、人として到底許されない、まさに唾棄すべき人物であり、行為なのですが、こういう赤川次郎ひさしぶりです。
この路線、支持したいですね。
シリーズものだとこういうのは難しくなってしまっているなら、どんどんノンシリーズを書いて欲しいです。
なにしろこちら、「招かれた女」 (中公文庫)推しの赤川次郎ファンですから。



タグ:赤川次郎
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