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夜のエレベーター [海外の作家 た行]


夜のエレベーター (海外文庫)

夜のエレベーター (海外文庫)

  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2022/07/31
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
「ぼく」は6年ぶりにパリへ帰ってきた。ともに暮らしていたママが死んでしまい、からっぽのアパートは孤独を深めるだけだった。だが今日はクリスマス・イヴ。にぎわう街の憧れの店へ食事に入ると、小さな娘を連れた美しい女性に出会う。かつて愛した運命の人に似た、若い母親に……彼女が思いもかけないドラマへと「ぼく」を導いていく! 「戦後フランス・ミステリー界最高の人気作家」と称されるフレデリック・ダールが贈る、まさに予測不能、謎と驚きに満ちた名品。


2022年11月に読んだ最初の本です。
さらっと読める小粋で小洒落たフレンチ・ミステリです。

クリスマスイヴと言う設定で、登場人物がしきりにレヴェイヨンを気にしています。
クリスマス・イヴの深夜にとる祝いの食事のことらしいですが、知りませんでした。フランスでは一般的なのでしょうね。

主人公が出会うドラヴェ夫人も、ほかならぬ主人公自身も何やら謎めいた部分があり、そこも気になってクイクイ読み進みます。
ドラヴェ夫人の家に二人が戻った時に見つけたあるもの(言ってしまっても差し支えないと思いますが、念のため伏せておきます)を軸に物語は急展開。
ミステリを読み慣れている方なら物語の行きつく先の見当がこのあたりで十分ついてしまうと思います。
そこへ新たな人物が登場することで、その読みが裏付けられます。
それでも主人公を覆う不安に感化されて、先がとても気になります。

ラストの方で現れるある小道具の使い方が、常套的といえば常套的なのですが、とても鮮やかな印象を受けました。

本訳書は訳者の長島氏が生前出版の予定もないまま自主的に訳したものが発掘されたものだそうです。
生前に出版が決まっていれば、きっと推敲を重ねられたでしょうが、お亡くなりになっているためそれが果たせなかったのでしょうね。
訳文が非常にぎこちないものになってしまっていて、翻訳ものにかなり慣れた読者でないと読み進めるのがつらいかもしれません。

作者のフレデリック・ダールの作品はずっと読みたいと思っていて、何冊か訳されたことがあるのですがすべて絶版。
こうやって読めて本当によかったです。
しかも、おもしろかったですし。
復刊もしてほしいし、もっともっと訳してほしいですね。


原題:Le Monte-Charge
作者:Frederic Dard
刊行:1961年
訳者:長島良三





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