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Q.E.D. iff -証明終了-(9) [コミック 加藤元浩]


Q.E.D.iff -証明終了-(9) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.iff -証明終了-(9) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: コミック


<カバー裏あらすじ>
「陰火」
夫が妻を殺す事件があったとされる家で怪奇番組を撮影。出演者が、人魂と共に現れた白い影に襲われ、番組はお蔵入りに!可奈が残された映像と過去の事件を辿り!?
「美しい絵」
イギリスで、引退間近の老警部が、マフィアの手下の車からボスの死体を発見。死亡推定時刻に疑問を持ち、被害者が直前まで滞在していた貴族の屋敷に向かうと‥‥?


Q.E.D. iff のシリーズ第9巻。
奥付をみると2018年2月になっていて、5年前ですが、もうamazonでは品切・絶版状態なのですね。

「陰火」は、夫が妻を殺す事件があったとされる、お化けの出そうないわくつきの建物での撮影現場で起きた事件。
陰火というのは人魂のことを言うらしいです。知りませんでした。
この陰火のトリックは面白いのですが(ただ、見た方がこういう風に感じるかはちょっと疑問なのですが、いわくつきの屋敷での心理状態からするとあり得るかな、と)、全体の構図は無理があるように思いました。
過去の事件もするすると燈馬が解いていくところは読みごたえがありましたが。
「燈馬くんはこういう非科学的な話絶対に興味ないだろうな……」という可奈の推測にもかかわらず、ちゃんと手を貸す燈馬はえらい。
ところで、今回の登場人物の名前は、箱根、有馬、道後...と温泉名なのですが、最初に出てくる人物が鳥羽で、???となりました。
鳥羽は高名な観光地ですが、温泉というイメージを持っていなかったからです。でも、ぼくが知らなかっただけで、温泉でも有名なのですね。鳥羽のみなさま、たいへん失礼しました。

「美しい絵」
イギリスの貴族の屋敷を主要な舞台に展開する事件で、燈馬が「これは精密に組まれたパズルです」と評します。
印象的なトリックが盛り込まれていて楽しみましたが、この車を使ったトリック、うまくいかない気がします。
「人は頭の中に絵を持ってる。
 それはとても美しい絵で人はそこに描かれた通りに行動する
 誰かにみせたくてもそれは叶わない
 道徳も法もその絵の前では無力です
 その絵は人を善悪の彼岸に連れてゆく」
というアイボリー警部のセリフが心に残りました。
 

<蛇足1>
もう指摘するのをやめている「一生懸命」ですが、「陰火」ではちゃんと「一所懸命」となっていて、とてもうれしく思いました。
子どもも読むコミックスではこのように、いわゆる(もう「一生懸命」が間違いだと言っても通用しないような感じがしますので、いわゆる、とつけておきます)「正しい日本語」を使ってもらいたいな、と思うので。

<蛇足2>
「美しい絵」に「貴族院に議席を持つ国会議員です」というセリフがあります。
いわゆる上院にあたる議会ですが、House of Lords ですから、「貴族院」ですね。
2009年まで最高裁判所を兼ねていた、というのが驚きです。ー三権分立って何?
未だに選挙ではなく、貴族であることをもって議員資格がある、というのがイギリスらしいですね。

<蛇足3>
ネタバレ気味なので、未読の場合はスキップしてください。
「借りた車は車種や色、年式くらいまでなら覚えていてもナンバーなんかの細かいところまでは気が回らない」
というくだりがあります。
イギリスの車の登録方法では、ナンバープレートのうちの一文字が車の登録年を表すようになっていますので、ちょっと日本とは勝手が違いますね──もちろん、このことでこの作品のトリックが揺るぐものではありませんが。


<2023.7.27追記>
このブログのタイトルのところで、巻数を間違って(8) と書いていました。
正しく(9) に修正しました。




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