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セピア色の回想録:杉原爽香<49歳の春> [日本の作家 赤川次郎]


セピア色の回想録 (光文社文庫)

セピア色の回想録 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/09/13
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
大富豪・三田村朋哉は、孫娘の奈美に、遺産を渡したい人物として杉原爽香の名前を挙げる。以前、爽香によって助けられたことがあるらしいが、当の爽香にはさっぱり覚えがない。一方、娘の珠実は中学一年に。放課後に担任・里谷美穂の手伝いをしたおり、コピー機に置き忘れられた書類に気付き、里谷に預ける。だがその夜、里谷から不可解な内容のメールが届き、彼女は襲われてしまう。


2023年4月に読んだ2冊目の本です。
シリーズも第35弾で、爽香はもうすぐ50歳!。

冒頭、いきなり爽香が息を引き取るシーンでスタートするので何ごとかと思いますが、これは中学生の珠実が書いた作文。
「当たり前のお母さんを書いても面白くないと思った」(13ページ)という明男の解釈もありますが、これは無理ですね。

無理と言えば、今回の五十歳マイナス一歳のお祝いの会、というのは無理があります。いくら大女優・栗原英子のご発案とはいえ。
五十歳を避ける、あるいは四十九歳とは呼ばない、大義名分があればよいのですが、それも設定されていません。手抜き?(これ、次作のネタにすればよくて、何も今回使う必要はなかったのでは? とも思ってしまうんですよね)

事件は、珠実の学校の先生が主体のもので、特に爽香の誕生パーティとリンクするものではありません。
もう一つのエピソードとして、爽香に遺産を残そうとする富豪というのがありますが、こちらは一応絡んできます。
いずれも、爽香にまとわりつくように展開してくところはさすが赤川次郎、というところなのですが、いかんせん現実離れした感じが拭えないのが残念です。

また、これもいつものことで、爽香が他人のことにどんどん介入していき、一応の決着を見せるのですが、
「いずれ立ち直りますよ、どちらも」(292ページ)
という爽香のセリフをどう受け止めるかで読後感が変わってくるような気がしました。


<蛇足>
「爽香がレポート用紙を手にして怖い声を出した。」(12ページ)
冒頭、珠実の作文を見つけた爽香というシーンですが、珠実の中学校の課題の作文はレポート用紙に書くのですね。
昔は作文は縦書きで提出すべしという感じでしたが、時代が変わったのでしょうね。




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