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双蛇密室 [日本の作家 は行]


双蛇密室 (講談社文庫)

双蛇密室 (講談社文庫)

  • 作者: 早坂 吝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
援交する名探偵・上木(かみき)らいちの「お客様」藍川刑事は「二匹の蛇」の夢を事あるごとに見続けてきた。幼い時に自宅で二匹の蛇に襲われたのが原因のようだが、その裏に藍川の両親が関わった二つの密室事件が隠されていた。らいちが突き止めた前代未聞の真相とは? 「本格」と「エロ」を絶妙に融合した人気シリーズ!


2023年5月に読んだ最初の本です。
早坂吝「双蛇密室」 (講談社文庫)
「2018本格ミステリ・ベスト10」第5位です。

早坂吝だし、上木らいち物だし、身構えて読むわけですよ。
エロだろうし、強烈だろうし。
読んでみて、確かにエロでした。強烈でした。
「らいちは絶頂に至ると同時に、事件の真相にも至った。」(215ページ)
なんて書くくらいですからね。
でも、それを受けて明かされる真相がさらにすごいのですよ。
いや、もう強烈という言葉では言い表せないと感じるくらい、強烈でした。

ミステリで蛇といったらなんといってもシャーロック・ホームズものの某作で、だから(笑)密室と蛇は相性がいいのですが、いや、もう、この作品の第二の事件での蛇の使い方には何と言ったらよいのか......

でもこんなの序の口で、第一の事件はもっともっとすごい。
「最初に言っておくけど、今から話す推理には証拠がない。だから信じるかどうかはあなたたち次第。でも私はこれが真相だと思っている。」(252ページ)
とらいちが謎解きの前に言っているのですが、本当に信じがたい。
江戸川乱歩の類別トリック集成の意外な犯人のところに果たしてこの項目があったかどうか。きっとないです。新たな項目として付け加える必要があるくらい斬新なのですが、でもこれ、採用されない気もする......

解説で黒田研二が
「援助交際を生業とする女子高生・上木らいちが名探偵となって活躍するこのシリーズは、どの作品も物語の根底に下ネタがはびこっている。エロではない。下ネタだ。」
としているのは、言葉の定義の問題なので異論があるかもしれませんが、
「作中、過激なセックスシーンも頻繁に登場する。しかし、不思議なことにちっともエロくはない。あっけらかんと明るく、どことかくユーモラスな、まさしく酒の席でエロ親父たちが下ネタを言い合っているような、あるいは中学生が休み時間に猥談で盛り上がっているような、そんな感覚と似ている」
と言っているのは卓見だという気がします。



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