SSブログ

三毛猫ホームズと炎の天使 [日本の作家 赤川次郎]


三毛猫ホームズと炎の天使 (KAPPA NOVELS)

三毛猫ホームズと炎の天使 (KAPPA NOVELS)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2023/02/22
  • メディア: 新書

<カバー裏あらすじ>
命拾いした「洞窟仲間」七人を相次いで襲う危機──。
闇の中でよみがえった「過去」が新たな事件を生む!
崩落事故で洞窟に閉じ込められてしまった男女七人。全くの闇に包まれ薄まっていく酸素に全員が朦朧とするなか、何者かが過去に犯した殺人の告白を始めた……。間一髪、ある娘の機転により奇跡的に全員が無事救助されたが、あの告白が誰のものなのかは謎のままだった。やがて、命拾いした七人のうち、若くにぎやかだった仲間千枝が刺し殺される事件が発生。その直後、やはり洞窟から生還した会社員・小泉昭夫がひき逃げに遭い命を落とす。二つの “事件” の繋りに気付いた片山刑事と妹の晴美は、ホームズと共に事件の真相に迫っていく! 大人気シリーズ第55弾!


2022年5月に読んだ9作目(冊数でいうと11冊目)の本です。5月はここまで。
赤川次郎の「三毛猫ホームズと炎の天使」 (KAPPA NOVELS)
三毛猫ホームズシリーズ55冊目!

このところの、赤川次郎の力の衰えを見せつけられているファンとしては、こうやってシリーズが続いていることをまずは寿がなければいけませんね。

帯に
「闇に閉ざされた洞窟の中で殺人の『告白』を聞いた者たちが次々と命を狙われる──。」
とあり、こういう筋書きはミステリとしてとても興味深いですね。
それぞれのエピソードを紡いでいくのは赤川次郎お得意の手法で、すくなからぬ登場人物を上手にクロスさせていくのですが、ミステリとして期待すると肩すかし。アンフェアと呼んでしまってもよいかもしれません。

タイトルの「炎の天使」というのは登場人物である若手指揮者西田が主宰する〈MKオーケストラ〉が演奏することになるプロコフィエフのオペラのタイトルです。
この西田という男、とても身勝手で読んでいて腹が立ちます。安直と言えば安直な人物設定ですが、読者にそのことが伝わります。
こういう人物は赤川次郎作品によく登場するのですが、この西田の扱いは少々意外でした。

早くも第56作目を期待して待ちます。


<蛇足1>
「何で俺がこんな目にあわなきゃいけないんだよ」
 と、口には出さねど思っていることはひと目でわかった。(25ページ)
「出さねど」とは、えらく古めかしい言い回しをつかったものですね。

<蛇足2>
「これは警察猫です」
と、片山は言った。(168ページ)
警察犬がいるなら、警察猫だって、ということでしょうか?(笑)
記憶力がないのにこんなことをいうのはあれですが、ホームズが「警察猫」として紹介されたこと今までありましたでしょうか?
このフレーズ、定着させてほしいです。

<蛇足3>
「警察の取り調べは、ともすれば乱暴になりがちだ。片山の先輩刑事には、
『傷つけないように痛い目にあわせる手があるんだ』
 などと自慢げに言う人もある。
 しかし、片山は警官が暴力を振ったら、人を傷つけ、乱暴した犯人と同列の人間になってしまう、と思っている。自白は、動かぬ証拠を目の前に突きつけてやれば引き出せるのだ。 
 そのために、刑事は懸命に捜査活動をするのである。」(227ページ)
片山の性格を反映した意見なのですが、シリーズもこれだけ巻数を重ねているのですから、読者には不要な部分です。作者自身がどうしても述べておきたかったのでしょうね。



nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。