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真鍮の評決 リンカーン弁護士 [海外の作家 マイクル・コナリー]


<カバー裏あらすじ>
丸一年、わたしには一人の依頼人もいなかった。だが妻とその愛人の射殺容疑で逮捕されたハリウッド映画制作会社オーナーは弁護を引き受けてほしいという。証拠は十分、アリバイは不十分。しかも刑事がわたしをつけまわす。コナリー作品屈指の二人の人気者が豪華共演する傑作サスペンス、満を持して登場。<上巻>
有罪必至の容疑者はいまだに余裕の笑みを浮かべ続ける。陪審員、検察、容疑者。誰かが嘘をついているのだ。さらに同僚弁護士が遺した事件ファイルに鉄壁の容疑を突き崩す術を見つけたわたしまでもが命を狙われるはめになる──。ハラーとボッシュの意外な関係も明かされ、驚愕のどんでん返しにコナリーの技が光る!<下巻>


読了本落穂ひろい。
手元の記録によると2015年の10月から11月にかけて読んでいます。
マイクル・コナリーの「真鍮の評決 リンカーン弁護士」 (上) (下)
さきに
第3作「判決破棄 リンカーン弁護士」(上) (下) (講談社文庫)(感想ページはこちら
第4作「証言拒否 リンカーン弁護士」(上) (下) (講談社文庫)(感想ページはこちら
の感想を書いています。

リンカーン弁護士:ミッキー・ハラーとハリー・ボッシュの共演が売りです。
上巻110ページあたりに、チラットダケデスガ、ジャック・マカヴォイも出てきます。

殺された弁護士ヴィンセントが担当していた事件を首尾よく(?) 引き継ぐことになったハラー。
そのなかでも飛び切りの大型案件が映画会社の社長エリオットが妻とその愛人を殺したというもの。
この映画会社、「あと五年もしたら<ビッグ・フォー>とはだれも言わなくなるぜ。<ビッグ・ファイブ>になるんだ。アーチウェイは、パラマウントやワーナーやほかの大手と肩を並べるようになるだろう」(173ページ)
社長自らのセリフですから割り引いて聞く必要があるでしょうが、それでも勢いのあるすごい会社だということがわかります。

ヴィンセントの事務所を調べているときに、ハラーはボッシュと遭遇します。
無難な第一遭遇で、特に激しく衝突したりもしません。
最後にハラーが
「以前なにかの事件で出くわしたことがないかな? あなたに見覚えがある気がするんだ」(上巻90ページ)
とボッシュに語り掛けるのも、意外と重要なポイントなのかも、と思えます。

ヴィンセントはこのエリオットの事件に関し、”魔法の銃弾”を持っていると話していたらしい。
”魔法の銃弾”とは「きみを監獄から出して家に帰してくれるカードのことだ。ドミノのようにすべての証拠を倒してしまうか、陪審団の陪審員全員の心にしっかりと、恒久的に合理的な疑いを刻みつける、ズボンの尻ポケットに隠しておく証人あるいは証拠だった」(上巻254ページ)と説明されています。
ところが、ハラーが調べてもそんな要素は見つからない......
なのに被告は余裕があり、調査の時間などかけずに裁判遅延を起こさず裁判を進めろと言う。

このあとは、法廷シーンも含めて、あれよあれよとコナリーのストーリーテリングに乗せられて結末まで一気に、という次第ですが、いやあ、面白かったですね。

タイトルの意味は、ストーリーをわってしまいかねないので色を変えておきますが、
何者かが正義を待てないと判断し、自分自身の評決を届けたんだ。おれがパトロール警官をしていたころ単純な路上の正義、つまり、自警行為が殺人にいたってしまったものをわれわれがなんと呼んでいたか知ってるかい?」(下巻363ページ)
ということで、「法廷ミステリというよりは、リーガルサスペンスである」と言いたくなるようなプロットに関係します。

コナリーも未読本が溜まっているので、がんばって読み進めたいです。


原題:The Brass Verdict
作者:Michael Connelly
刊行:2008年
訳者:古沢嘉通


<2024.1追記>
タイトルを、判決破棄としてしまっておりました。訂正しています。

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