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判事とペテン師 [海外の作家 さ行]


判事とペテン師 (論創海外ミステリ)

判事とペテン師 (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2005/12/01
  • メディア: 単行本

<カバー袖あらすじ>
謹厳な判事と敬虔な牧師。尊敬すべき二人の共通点は、なんと〈競馬〉だった! さらに、判事の息子は決して誇れることのない悪行を生業としていた……。
自身も法廷弁護士、そして判事という職歴を持つ法廷ミステリの名手セシルが、法知識をふんだんに盛り込みながらもユーモラスに綴る、判事とペテン師の親子二代記。



2023年8月に読んだ8冊目、最後の本です。
ヘンリー・セシルの「判事とペテン師」 (論創海外ミステリ)
単行本です。論創海外ミステリ36

ヘンリー・セシルは昔「メルトン先生の犯罪学演習」(創元推理文庫)を読んだことがあります。
「メルトン先生の犯罪学演習」は、ローマ法と法理学の権威メルトン教授が、列車から飛び降りた際に転んで頭を打ったことがきっかけで、法の間隙を縫うあの手この手を連続抗議していくという連作長編(以上、「判事とペテン師」巻頭の「読書の栞」から引用)で、馬鹿馬鹿しくて楽しめた記憶。

この「判事とペテン師」は、引用したあらすじにもある通り、判事とペテン師の親子二代記です。
この二人の苗字がペインズウィック。
原題 "The Painswick Line" は、ペインズウィック家を代々貫く流れ、あたりの意味でしょうか。
最後のセリフはこのタイトルを踏まえたものですね。

判事の息子がペテン師とは、まさに不肖の息子。
なので絶縁、没交渉──というわけではなく、なにくれと気にしているというのがポイントです。
なにしろ、息子のために金を用意しなくては、と職権を利用して(?)、競馬必勝法を入手しようとするのが物語のスタートですから。

その後の展開から、これはミステリとは言い難い作品であることがわかりましたが、それでもユーモラスで面白かった。
楽しんで読めました。
あのメルトン先生もゲスト出演していましたよ。

ヘンリー・セシルの作品はハヤカワや創元のものは絶版で、ほかには「判事とペテン師」のあと論創ミステリから「サーズビイ君奮闘す」 (論創海外ミステリ)が出版されているだけのようです。
まずは復刊をお願いしたいですね。



原題:The Painswick Line
作者:Henry Cecil
刊行:1951年
翻訳:中村美穂







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