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ハロウィーン・パーティ [海外の作家 アガサ・クリスティー]


ハロウィーン・パーティ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)

ハロウィーン・パーティ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2023/08/24
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
推理作家ミセス・オリヴァーが参加したハロウィーン・パーティで少女が殺された。少女が殺人現場を見たことがあると自慢していたことから口封じのための犯行かと思われたが、彼女は虚言癖の持ち主。殺人の話を真に受ける者はいなかった。ただ一人ポアロを除いては。クリスティーらしさが詰まった傑作が新訳で登場。


2023年8月に読んだ7作目の本です。
アガサ・クリスティーの「ハロウィーン・パーティ」〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)
映画「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」(感想ページはこちら)の原作です。
映画を観る前に読もうと思って購入しました。感想は前後しましたが、なんとか原作を先に読みました。

解説で若竹七海が
「物語は本作の十三年前に発表された『死者のあやまち』そっくり(ポアロとオリヴァー夫人が登場し、ゲームの最中に少女が殺され、物語の背景には美しい庭)。」
と書いているように、本当に「死者のあやまち」 (クリスティー文庫)(感想ページはこちら)そっくり。

こちらの少女は虚言癖があって、それが原因で殺されたのだろう、と推察される。
てっきり嘘だと思い込んでいたオリヴァー夫人が、自責の念(?) に駆られて、ポアロの出馬を要請する。
物語の流れはよいのですが、少女が殺されることと言い、どうも後味がよろしくない。
美しい庭と絶世の美青年が出てきても、これは拭えませんね。

ポアロが乗り出してから、関係者への聞き取りシーンの連続で、物語は極めて短調。
クリスティーの作品には、もともとおしゃべり(捜査や尋問というよりは、おしゃべり)のシーンが多いのですが、この作品では特に目立ったような気がします。

これ、どうやって映画化するのかなぁ?
映画は舞台をベネチアに移し(庭がない!)、ハロウィーン・パーティのあと開催される降霊会(!) を受けての殺人という、原作とは別物といえるものでしたが、観る前はそう思っていました。

ちょっと欠点が目についた感想になっていますが、それでも犯人の隠し方はさすがクリスティーと言えそうで、さらっと読者の目をそらしてしまう手際は素晴らしい。それすら若竹七海には「犯人の設定はクリスティーがさんざん使い込んできたおなじみのパターン」と断じられていますが、効果抜群です。
そして御歳79歳の作品とは思えない、みずみずしい庭園の場面が強く印象に残っています。
傑作、ではないかもしれませんが、クリスティーらしさにあふれた作品だと思いました。


原題:Hallowe'en Party
著者:Agatha Christie
刊行:1969年
訳者:山本やよい





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