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死者の試写会へようこそ 怪異名所巡り 12 [日本の作家 赤川次郎]


死者の試写会へようこそ 怪異名所巡り 12

死者の試写会へようこそ 怪異名所巡り 12

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2023/08/04
  • メディア: 新書

<帯紹介文>
何が上映されるか分からない試写会〈スニークプレビュー〉に誘われた藍。
そこで流れた映画は、実際に過去に起きた殺人事件をモデルにしていて……
表題作「死者の試写会へようこそ」ほか、全6話。
人気シリーズ第12巻!


2023年11月に読んだ最後の本です。

シリーズ第12巻「死者の試写会へようこそ 怪異名所巡り 12」

「正義果つるところ」
「雪の中のツアーガイド」
「ジャンヌ・ダルクの白馬」
「KO牧場の決斗」
「死者の試写会へようこそ」
「月のウサギはお留守番」
の6編を収録。

快調に続いているシリーズで、赤川次郎お得意の怪異現象も好調です。
主人公である藍も
「変わった人には慣れてます」「幽霊に比べれば、どうということも……」(237ページ)
というくらいで、とても頼りがいあり。
レギュラーであるツアー客で高校生(で金持ちというのが赤川次郎らしい)の遠藤真由美もいい感じです。
「どうしたの、そのブレザー? よその学校の制服じゃない?」
「万一、何かまずいことになっても、他の高校の生徒だと思われたら大丈夫でしょ」(238ページ)
なんて、この物語に飛び込んでいくのにぴったりな性格をしていますね。

本のタイトルが「死者の試写会へようこそ」ということで、堂々のおやじギャグ。
脱力感満載なのですが、その表題作が個人的には注目作。
長い人類の歴史の中では、ないとは言い切れないような事態なのかもしれませんが、かなり荒唐無稽な事件の背景を採用しています。その荒唐無稽なプロットを、力技というのではなく、単にサラッと書いてまとめ上げているのがすごい。
赤川次郎の力はこういうところに(も)あるんだな、と感じ入りました。


<蛇足1>
「君原の言うことが間違っているとは言えない。しかし、あそこに建っていたマンションは幽霊ではなかった」(9ページ)
「君のいる所、必ず何かまともじゃないことが起るね」
という君原のセリフを受けての文章です。
一瞬「しかし」のつながりがわかりませんでした。

<蛇足2>
「少し早いですが、ここでお弁当を食べましょう」
と、藍は言った。
「この先、落ちついて食べられる場所はありませんから」(75ページ)
「雪の中のツアーガイド」の1シーンで、山登りをしています。
藍はこの山に行ったことはなかったように思ったのですが、手慣れた案内振りですね。
お客様を連れていく手前、事前に登っておいたのでしょうか?──ただ、霊感ガイドで藍が行くと何かが起こるという設定なので、事前に行く、というのはあまりこのシリーズにはふさわしくない気がしますが......

<蛇足3>
「社長令嬢の遠藤真由美は、〈すずめバス〉にとっては大切な『お得意様』だ。しかし、本来は幽霊や心霊現象が大好きという、ちょっと変わった女子高校生。」(228ページ)
ここは「本来は」という語を使うのにあまりふさわしくない箇所のように思えます。

<蛇足4>
「ジャンヌ・ダルクの声や画像を作るのは、もともとCGアニメの会社でアルバイトしてたので、得意でしたから」(136ページ)
画像はともかく、ジャンヌ・ダルクの声って......??

<蛇足5>
ネタバレ気味なので、気になる方はとばしてください
「〇〇はSNSに出た写真が多いに話題になったのと、今田を危うく殺しかけたことで、大学側から処分を受け、結局他の私立大学に移って行った。」(257ページ)
いやいや、この〇〇がやったことは、殺人未遂ですよ。内容的に殺人未遂とまではしなくても傷害罪とかには問えそうです。そういう教員が処分で済まされて、他の大学に移れるなんて、あるのでしょうか?






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