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憂国のモリアーティ 3 [コミック 三好輝]

憂国のモリアーティ 3 (ジャンプコミックス)

憂国のモリアーティ 3 (ジャンプコミックス)

  • 作者: 三好 輝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/07/04
  • メディア: コミック

<裏表紙あらすじ>
殺人犯はシャーロック・ホームズ──
ドレッバー伯爵殺害という無実の罪で警視庁に逮捕・投獄されたシャーロック。
背後で糸を引く“何者か"を暴くべく、シャーロックは事件の捜査に乗り出す。
大英帝国の闇を照らす名探偵の誕生で、ウィリアムの“計画"は新たな局面へ──!!


「憂国のモリアーティ」 (ジャンプコミックス)(感想ページへのリンクはこちら
「憂国のモリアーティ 2」 (ジャンプコミックス)(感想ページへのリンクはこちら
に続く第3巻。
表紙は、モリアーティですね。

#8,9  シャーロック・ホームズの研究 第二幕、第三幕 (The Study in "S" Act 2, Act3)
#10,11 バスカヴィル家の狩り 第一幕、第二幕 (The Hunting of the Baskervilles Act 1, Act2)
を収録しています。

「シャーロック・ホームズの研究」は第2巻からの続きですね。
ホームズが逮捕されたところからスタートです。
事件の舞台となっているロンドンのローリストン・ガーデンズ三番地というのは、架空の住所のようですね。「緋色の研究」 (光文社文庫)に出てくるのをそのまま借用しています。こういう仕掛け、楽しいですね。「緋色の研究」を読み返してみようかな?
しかし、レストレード警部の味方ぶりがすごいですね。猫が急に飛び出してきた、という言い訳がかわいい...
また、ベーカー街不正規隊(ベイカーストリートイレギュラーズ)も活躍します。
そしてワトソンがホームズ譚を書く、という流れも描かれます。
役者が出揃いつつあり、枠組みも固まりつつありますね。
当然、ホームズは無事に真犯人を突き止めるわけですが、同時にモリアーティサイドのテストにも合格します。
「これからは警察や司法では裁けない特権階級の悪魔共を僕たちが始末し、彼にその事件を解かせて貴族の腐敗を世に喧伝させる…
 文字通り”闇”に光を照らす主人公(ヒーロー)になってもらおう シャーロック・ホームズ」
というのですから。
原典の枠組みを根底からひっくり返す、というか原典の枠組みを取り囲む額縁を構築したというべきか、仕組みが完成しつつあります。

「バスカヴィル家の狩り」は本当に胸糞の悪くなるような貴族の犯罪を描いています。
第2巻収録の「ノアティック号事件」で感じたフレッドについての不安が、どうやらここで解消されるようです。
「バスカヴィル家の狩り」の物語には関係ないのですが、ラストシーンでは再びホームズが登場します。なぜかロンドンのユニバーサル貿易社に長官と呼ばれて登場します。なんだろな。
「憂国のモリアーティ 4」 (ジャンプコミックス)が楽しみです。


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憂国のモリアーティ 2 [コミック 三好輝]


憂国のモリアーティ 2 (ジャンプコミックス)

憂国のモリアーティ 2 (ジャンプコミックス)

  • 作者: 三好 輝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/03/03
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
死こそが人の心を動かす──
陸軍内で、麻薬組織掃討の気運が高まる中、極秘の特務機関創設の情報を得たアルバート。
直後、ロンドンを訪れたウィリアムが何者かに攫われて──!?
国に巣くう歪みを正すため、モリアーティが仕立てる鮮烈な“犯罪劇"がついに始まる!!


「憂国のモリアーティ」 (ジャンプコミックス)(感想ページへのリンクはこちら)に続く第2巻。
表紙は、シャーロック・ホームズ。品のない姿かたちですが(失礼!)、意外とこんなものだったのかもしれませんね。

#4  伯爵子弟誘拐事件 (The Case of the Noble Kidnapping)
#5,6 ノアティック号事件 第一幕、第二幕 (The "Noahtic" Act 1, Act2)
#7  シャーロック・ホームズの研究 第一幕 (The Study in "S" Act 1)
を収録しています。

「伯爵子弟誘拐事件」は着地が派手ですねぇ。
蔓延しているアヘンを退治しようと陸軍省や政府などでアルバートが頑張るシーンで幕を開けるのですが、そのあと伯爵子弟が誘拐されて...と急展開するんですが、誘拐されるのがジェームズ・モリアーティだというのですから、まあ、仕掛け・舞台裏の見当がつくというもの。
情報部特務機関、のちのMI6誕生秘話、ともいえるストーリーになっているのはかっこいいのですが、最後に
「莫大な資金とアヘンの流通ルートを手にした」
と言っていて、あれ? イギリスに浸透していっているアヘンはそのままにして資金源にするんでしょうか?
それはちょっと困るなぁ...

「ノアティック号事件」の冒頭で、モリアーティの狙いがふたたび明示されます。
国の歪みを正したい。その根幹にある貴族・階級制度を打破したい、というものなのですが、
「犯罪によって街は舞台(ステージ)と化し 市民は犯罪を目撃する観客となるーー」
「そして観客に見せるべき題目(テーマ)は この世界の歪みが最も顕になるような”死”ーー
 僕達が演出し飾り立て意味を持たせた”死”こそが 真に人々の…この国の目を覚まさせ事になる」
制度は直ぐには変えられないが、人の心は変えられるから、というのですが、この手段が正しいのかどうか、ちょっと疑問ですね。ただ、まあ、こうしないと物語が転がっていきませんが。
で、これを受けた最初の事件が、ノアティック号という豪華客船を舞台にした事件です。
雑な部分もありますが、貴族をだましていく手口は楽しいですね。
注目はやはり、シャーロック・ホームズの登場でしょうか。
かなり衝撃的な登場の仕方をします。
「一つ一つ可能性を潰していけばどんな有り得なさそうな事でもそれが真実なんだ」
という有名なセリフもきっちりと登場します。
ホームズは、モリアーティの仕組んだ裏に気づくのですが、(当時の)警察ではわからない、ホームズだからわかる道筋が立ててあるのがいいですね。
もう一つ、この話で気になるのは、138ページで、フレッドが民間人の死を使用したプランだったことを気にしているかのようなシーンがあること。ホームズ登場の陰に隠れたようなエピソードですが、将来の波乱要因かもしれませんね。

「シャーロック・ホームズの研究」はモリアーティたちはあまり出てこず、シャーロック・ホームズに焦点が当たります。
モリアーティによれば、
「僕達が仕立てる犯罪をより多くの民衆に周知するために必要なもの
 民衆がその境遇に賛同できる”犯人”
 そして貴族の腐敗を世間に暴く”探偵”」
ということで、その”探偵”役にホームズを活用しようというのです。
「今回は彼にその適性が有るかどうかを試すオーディションだ」と。
いやあ、完全にホームズを下に置いてますね。正典ファンが聞いたら激怒しそう...僕は楽しんじゃいましたが。
この話でおもしろいのは、ワトソンが登場すること。そしてその見た目が、ホームズと違って正統派というか、すっきり麗しい感じに見受けられること。
ハドソン夫人もお茶目に登場しますが、原作はもっと年配のイメージではなかったかと思うんですが、すごく若いハドソン夫人です。
この2巻収録部分では事件は起きず、ホームズ、ワトソン、ハドソン夫人のお披露目のイメージ。
ラストでレストレード警部が登場し、いよいよホームズ物語はじまりはじまり~かと思ったら、ホームズを逮捕するところで、エンド。
第3巻が楽しみです!


<蛇足>
巻頭の人物紹介のところに、STORY とあって前巻「憂国のモリアーティ 1」のあらすじが紹介されているのですが、ミステリ的にはネタバレを含んでいますので、未読の人は(まあ、そんな人はこの2巻を手に取らないでしょうが)ご用心を。

<蛇足2>
巻末のおまけまんがに出てくる、スターゲイジーパイ
この料理そのものを知らなかったんですが、「パイ生地から魚の頭部や尾部が突き出しているのが主な特徴」って、これは嫌だなぁ。

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憂国のモリアーティ 1 [コミック 三好輝]


憂国のモリアーティ 1 (ジャンプコミックス)

憂国のモリアーティ 1 (ジャンプコミックス)

  • 作者: 三好 輝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/11/04
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
時は19世紀末、大英帝国最盛期のロンドン──。
この国に根付く階級制度に辟易するモリアーティ伯爵家家長子・アルバート。孤児院から引き取ったある兄弟との出会いによって、世界を浄化するための壮大な計画が動き出す。名探偵シャーロック・ホームズの宿敵、モリアーティ教授の語られざる物語の幕が開く──!!


ついに船便が到着しました!
日本を出てから約2ヶ月。結構時間がかかりましたね。
でも、はるばる日本からイギリスまで海の上をやってきたのかと思うと、なんとなく感慨深い。
本、読めていないのに、船便でも本を送ってきてしまっています。
そんななかコミックも2シリーズだけ持ってきていまして(といいつつ、船便の段ボール全部開けきっていないので、どこかにまだ紛れ込んでいる可能性は否定できませんが)、そのうちの一つがこの「憂国のモリアーティ」 (ジャンプコミックス)です。

#1 緋色の瞳 (The scarlet Eyes)
#2 グレープフルーツのパイ一つ (The one grapefruit Pie)
#3 橋の上の踊り子 (The Dancers on the Bridge)
の3話収録です。

シャーロック・ホームズの宿敵であるモリアーティを主人公に据える、というのは小説で例がないではないですが、若かりし頃から、しかもコミックで、というのが冒険ですね。
巻末のおまけまんがに、ホームズ正典のなかで、モリアーティに触れられているのはわずか6作品と書かれていますが、逆に意外と多いな、という印象ですね。ライヘンバッハの滝にホームズと一緒に落ちた印象が強すぎるので、それ以外の作品にあんまり出てきたという感じがしません...
ホームズの正典もまったくといっていいほど読み返していませんので、この程度の印象しかもっていない人間の感想だと思って受け止めていただければと思います。

まず、モリアーティって、こんな人物でしたっけ?
人殺しはばんばんやっちゃうのですが、路線としては義賊というか、正義の味方っぽいんですよね。
「命の価値は同じであるはずなのに
 誰しもが平等に幸せになる権利があるはずなのに
 この国にはそれが無い…
 人々に呪いをかける階級制度
 それにより人の心は汚れ歪み
 悪魔が生まれる
 …ならばその逆も然り
 悪魔が消え去れば人の心は澄み渡り呪いは解ける
 この国はきっと美しい」
こう信じて、打倒階級制度で、忌まわしい貴族やその取り巻きたちを成敗する。
イギリス版必殺仕事人?

階級社会が薄れた(日本のようになくなったわけではなく、イギリスにはきちんと残っています!)現代の視点から見ると、平等というのは「正しい」わけで、悪の権化だったモリアーティが正義の味方に早変わり
おそらくオリジナルのモリアーティの設定はこうではなかったと思います。
その意味では、この作品、表紙に「原案/コナン・ドイル」と書いてあるのは、なかなか大胆ですね。

この留保をクリアしてしまうと、あとは快調ですね。
ちょっとモリアーティの考える手口がやわい感じがしていまいますが、虐げられているものを救うための殺人、というのは勧善懲悪として受け入れられやすいですし、逆にこのコミックから正典に入っていく人もいるだろうと思うと(世間はミステリファンが思うほどホームズを読んでいません)、これはこれでありかな、と思いました。
ミステリ的にはトリックにもう一工夫も二工夫もしてほしいところですが、それはないものねだりでしょうね。



<蛇足>
第2話のタイトルの英語版 The one grapefruit Pie というのは...どうなんでしょうか?
The one ~?
<2018.7.12追記>
正典に、「オレンジの種五つ」(The Five Orange Pips)という作品があるので、その連想かと思われますが、あちらには The をつける理由があったと思われます。
一方、こちらの「グレープフルーツのパイ一つ」には The をつける理由が見当たりません。


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