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黎明に叛くもの [日本の作家 あ行]


黎明に叛くもの (中公文庫)

黎明に叛くもの (中公文庫)

  • 作者: 宇月原 晴明
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ペルシアの暗殺法を伝える山で刺客として育てられた美貌の稚児。志を胸に山を下りた少年は、長じて松永久秀と名乗り、京を手中に収める。織田信長より過激、斎藤道三よりしたたか――戦国一婆娑羅な悪党は、妖しの法を自在にあやつり、信玄、謙信、光秀はじめ群雄たちを翻弄する。虚と実の狭間に屹立する異形の戦国史。

宇月原さんは「信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」 (新潮文庫)で、 第11回(1999年)日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。奇想あふれる時代小説、というより、伝奇小説で、タイトル通り、織田信長を扱っていました。作者の放つ奇想に幻惑され(毒気にあてられ?)、すっかりファンになってしまいました。第2作「聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ)」 (新潮文庫) は豊臣秀次と錬金術。こちらもすてきな伝奇小説でした。
第3作の本作も、ミステリではなく、伝奇小説です。
織田、豊臣と来たので、徳川かと思ったら、斎藤道三と松永久秀。主人公としてはやや地味かな、と思わないでもありません。しかし、イスラムの暗殺教団とのつながりというアイデアの種から大きな樹が育ち、華麗な花を咲かせています。
現実から離れられない人や、とにかく史実通りであることを求める人には向きませんが、空想の力、物語の力を感じたい人にはおすすめです。作者が築き上げた豊穣な物語世界にどっぷり浸かっていただきたいと思います。
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まっきー☆

先日は、我が図書館へのご訪問、ありがとうございました。
ミステリーが中心なんですね。 ワタシもミステリーは大好きですが、最近は雑多に色々幅を広げています。 澪つくし料理帖は、まったくミステリーではありませんよね。でもあれはあれで素敵な時代物だと思っています。 今後も楽しみに拝見させていただきたいと思います。
by まっきー☆ (2011-10-09 12:45) 

31

コメントどうもありがとうございます。
ミステリ以外にも面白い小説はいっぱいあると思いますが、ミステリだけでも手一杯で、ほかのものに手を出す余裕が...という状況です。
みをつくし料理帖は、ミステリだと勘違いして手に取った阿呆でも十分楽しんで読み終わることができましたので、魅力的なシリーズなんだと断言できます!
これからも、どうぞよろしくお願いします。
by 31 (2011-10-09 22:24) 

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