チャット隠れ鬼 [日本の作家 山口雅也]
<裏表紙あらすじ>
中学教師・祭戸は、学院長からサイバー・エンジェルの仕事を命じられた。子供たちを守るため、ネット犯罪を監視せよというのだ。嫌々引き受けた祭戸だが、チャットの面白さにどっぷり嵌ってゆく。そこで出会った一人が危険な小児性愛者で、少女たちを狙っていることに気づく! 近くで起こった小学生失踪事件との関わりは? 祭戸のスリリングな犯人捜しが始まる。
山口雅也といえば、なんといっても「生ける屍の死」 (創元推理文庫)の衝撃が忘れられませんが、個人的にはその後の作品ごとに波長が合ったり合わなかったりでした。山口雅也の本だ、というだけで、こちらが過剰な期待を持ってしまうのも、その原因の一つだと思います。
この作品は、タイトル通り、チャットを題材にしており、珍しく横組みで、チャットの画面が紙面に登場しますが、それを除けば普通のミステリです。
ネットの匿名性というか、別名で登場できるという特性は、逆にミステリに取り込むのが難しいように思います。Aさんと思っていたのが実はBさんでした、ということが簡単にできてしまうので、かえって驚きが少なくなってしまうようです。この作品も残念ながらその状況に陥ってしまっていて、犯人の意外性がかなり減ってしまっています。ここでもやはり、山口雅也だったらもっと仕掛けてくれるはず、もっと意外なことをしてくれるはず、と感じてしまいました。落ち着いて振り返ってみると、比較的薄い本なのに盛りだくさんで、十分手の込んだプロットになっているのですが...
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