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祖国なき男 [海外の作家 は行]


祖国なき男 (創元推理文庫)

祖国なき男 (創元推理文庫)

  • 作者: ジェフリー・ハウスホールド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/11/20
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
要人暗殺に失敗し、母国イギリスへ逃げのびてから3年。ドイツへ再入国し、暗殺の機会をうかがっていたところ、大戦が勃発した。祖国の軍への参加を望んだが、誤解によってその願いはかなわなかった。そこでわたしは、単身参戦し、ひとりで敵を殺し、ひとりで死を迎えようと決心した…。冒険小説史上の金字塔『追われる男』の続編にして、前作を凌駕するスケールと密度を誇る傑作。

あらすじで冒険小説の金字塔と書かれている前作「追われる男」 (創元推理文庫)は一風変わった冒険小説でした。
前作のあらすじを引くと
要人暗殺未遂の廉で逮捕され、苛酷な拷問を受けたわたしは、九死に一生を得て、からくも帰国する。だが執拗な追及の手は故国イギリスにまで及び、イングランド南部の丘陵へと逃亡する羽目となったわたしは、徐々に逃れることのできない窮地へと追い込まれていく……!
となっています。
このあらすじだと普通の冒険小説じゃないかと思われるでしょうが、イングランド南部のシーンでは不思議なことにじっとしているんです。妙にじっとしている。それでいてサスペンスや緊張感を感じます。前半部分は忘れてしまっているのに、ここは強く印象に残っています。表現的にはおかしいのですが「静の冒険小説」とでもいいましょうか?
その続編なので、どんなのかなぁ、と好奇心いっぱいの期待がありました。
今回も主人公は逃げる、逃げる、逃げる。
その意味では動き回るので、「静」とはいえませんが、かといって「動」かというとそうでもなく、ぜひ読んで確かめてみてください。
この主人公のキャラクターが、責務とか使命とかを重んじるところとか不屈なところとか、唯我独尊というかちょっと自国中心なところも含めて、いかにもジョンブルっぽい。小説などで描かれるいかにも典型的なイギリス人のイメージなんでしょうね。エピローグで語られる最後のエピソードなんて、あまりにそれっぽく、「堪能しました」という感じです。
冒険小説好きのかたはもちろん、普通の冒険小説には満足できないかたにもご一読いただきたいです。
<おまけ>
前作「追われる男」 の原書が1939年で、今度の「祖国なき男」 が1982年で、なんと間が43年もあいています。どんな事情があったのでしょうね?
日本語訳は2009年なのでこちらも時間がかかっていますが...


追われる男 (創元推理文庫)

追われる男 (創元推理文庫)

  • 作者: ジェフリー ハウスホールド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫


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