青チョークの男 [海外の作家 あ行]
<裏表紙あらすじ>
パリの街で夜毎、路上に青チョークで円が描かれ、その中に様々なガラクタが置かれるという奇妙な出来事が続いていた。蝋燭、人形の頭、クリップ……。変わり者の哲学者の仕業か? しかし、ある朝、そこにあったのは喉を切られた女性の死体だった。そして、また一つ、また一つ死体が……。警察署長アダムスベルグが事件に挑む。仏ミステリ界の女王による大人気シリーズ第一弾。
フレッド・ヴァルガスによるアダムスベルグ・シリーズの第1弾です。
CWA(英国推理作家協会)インターナショナル・ダガー賞を受賞しているそうです。訳者あとがきによると、サン・ナゼール・フェスティヴァル賞というのも受賞してるらしいですが、この賞は知りません...
シリーズ第2弾である「裏返しの男」 (創元推理文庫) が1月に久しぶりに翻訳されたので、2006年に訳された第1作のこちらも(再版されて)本屋さんで積まれていることが多くなり、購入しました。
ヴァルガスのもう1つのシリーズ、三聖人シリーズの第1作 「死者を起こせ」 (創元推理文庫) は読んでいます。
非常に癖のある登場人物とプロットなので、どなたにもお薦めできる、というものではないと思いましたが、独特の世界に染まれば、抜けられなくなるような気もします。ぼくはまだ十分に染まりきっていませんが、次々とシリーズを読み進んでいいけば世界に馴染んでくるのかな?
そもそも論理的に解決に至らない探偵というのが特徴なのでしょう。あと、探偵のプライベートのエピソードがあふれているような印象なのもポイントかと思います。元恋人カミーユは未だに気になりますね。
本書はミステリとしてはさほど驚くような内容ではないと思いましたが、青チョークの円をめぐるエピソードはちょっといいなと感じました。形のない第六感に頼ると探偵自身が言いながら、ちゃんと論理が通っているのがおもしろい--まあ、そうでないと読者は納得しないでしょうが。
ちょっと変わったミステリを読みたくなったら、フランチ・ミステリ、というのは通説のようになっているのではないかと思いますが、ヴァルガスもその例に漏れず。ただ、本格よりの作風なのが珍しいかもしれません。
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