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ニンジアンエ [日本の作家 か行]

ニンジアンエ

ニンジアンエ

  • 作者: 古処 誠二
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/11/25
  • メディア: 単行本


<裏表紙側帯あらすじ>
インパール作戦前年のビルマ。新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐に同行する。捜索が順調に進むほどに、美濃部の胸中にいくつもの疑問が生じていく。捕虜になったイギリス人は、なぜ不遜な態度を崩さないのか? ビルマ人の人質はどこに消えたのか? すべての謎が解けた時、美濃部は「戦地の真実」を突きつけられる。それぞれの正義と信念を圧倒的な筆力で浮き彫りにした傑作長編。

単行本です。
作者の古処誠二は、「UNKNOWN」 (講談社ノベルス)(文庫タイトルは「アンノウン」 (文春文庫)とカナ表記)で第14回メフィスト賞を受賞してデビューした作家です。
「UNKNOWN」 は、自衛隊を舞台にした不可能犯罪ものだったのですが、次第にミステリからは遠ざかって、第二次世界大戦をえがくことが多くなっています。
第1作もそうですが、たとえば、第2作の「少年たちの密室」 (講談社ノベルス)(文庫化タイトルは「フラグメント」 (新潮文庫))なども、とても充実したミステリでしたから、ミステリに帰ってきてほしいなぁ、と思うのですが、作者の書きたいことは、戦争を舞台にしたもの(あえて、曖昧な言い方にしておきます)なのでしょうね...
それでも、ミステリ以外はほとんど読まないのですが、古処誠二だけは単行本で買って読み続けています。なぜだろ? 本屋さんで新刊を見かけると、つい買ってしまいます。
この作品ではかなり控え目ですが、ミステリの手法というかセンスが生かされている作品が多く、仕掛けというほど大げさなものではないにしろ、作品のテーマが少しひねった形で提示される点が、こちらの好みにあっているのかも。
作者の古処さんは自衛隊のご経験はあるようですが、1970年生まれということですから、当然戦争は経験されていません。
語り口が淡々としているので、戦場の生々しさが伝わってこない、という感想を抱く人(特に年配の人や、戦争経験者による戦争文学を好む人)もいるようですが、重苦しいことを重苦しく書くだけが戦争文学の行き方ではない、と読者としては思います。淡々と語っていても、重い内容がきちんと伝わってきていると思うからです。
その意味では、新しい戦争文学を切り開いていらっしゃるのかもしれません。
次の作品も、きっと買ってしまうことでしょう...
タグ:古処誠二
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