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闇の底 [日本の作家 や行]

闇の底 (講談社文庫)

闇の底 (講談社文庫)

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/09/15
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
子どもへの性犯罪が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が殺される。卑劣な犯行を、殺人で抑止しようとする処刑人・サンソン。犯人を追う埼玉県警の刑事・長瀬。そして、過去のある事件が二人を結びつけ、前代未聞の劇場型犯罪は新たなる局面を迎える。『天使のナイフ』著者が描く、欲望の闇の果て。

「天使のナイフ」 (講談社文庫)で江戸川乱歩賞を受賞しデビューした作者の第2作です。
前作は少年犯罪を扱っていましたが、今回は子どもへの性犯罪。捕まっても刑期を終えると社会復帰して、再犯する犯罪者をどうするか、非常に重いテーマです。
「天使のナイフ」 もそうでしたが、重いテーマを扱っていても、ミステリを軽視せず、きちんと意外な犯人を演出しようとしているところがとてもいいなあ、と思います。しかも、その意外な犯人が、テーマと乖離せず、テーマに寄り添っているのが素晴らしい。
スピーディーに展開しますし、読んでいる途中はどぎつい描写も控えめで、読みやすい。しかし、テーマがテーマなだけに、後味は非常に悪い。
ミステリって、意外な犯人が提示されると、一種の爽快感が得られるものなのですが、薬丸作品の場合は、爽快感に浸る間もなく、テーマを鋭く突きつけられて、いろいろと考えさせられます。
重いテーマに挑むことを持ち味にされているようですが、そしてそれは意義深いことではありますが、一度、テーマを離れて、遊戯に徹したミステリを書いてみてはいかがでしょうか? 苦いラストを振り返りながら、そんなことを考えました。
タグ:薬丸岳
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