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CUTE & NEET [日本の作家 か行]

CUTE & NEET

CUTE & NEET

  • 作者: 黒田 研二
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/01
  • メディア: 単行本


単行本です。
いつもだとここであらすじを引用するのですが、この本、あらすじがない...
仕方ないので、帯からひっぱると、
「人気ゲームのコミカライズ『逆転裁判』も大ブレイクの著者が贈る謎と笑いのハートウォーミング・ミステリー」
「園児探偵白畠リサ登場!」 
「幼稚園には危険がいっぱい!?」
「『ひきこもりニートの僕が、姪っ子の世話をするハメに…』」
という宣伝文句が書かれています。
これじゃあ、なんのこっちゃわかりませんね。
仕方がないので、文芸春秋のHPの担当編集者から一言を
「引きこもりのニート青年・白畠鋭一は、バツイチの姉・真矢がニューヨークに出張する間、幼稚園児の娘・リサの面倒を見るよう命じられ、単身名古屋へ。リサの幼稚園を訪ねて早々に変態と間違われ、さらに園児・サヤカの誘拐事件にも巻き込まれ散々な目に――。幼稚園で起る様々な事件を、リサに助けられて解決するうちに、縮こまった鋭一の心も開かれていく。著者自らの幼稚園児送り迎え体験をもとにした、笑いあり、涙ありの快作です。(AK)」
これならイメージわきますね。そういうお話です、とだけいっておしまいにしてしまいそうになりますが...

いくらなんでもここまでしっかりした五歳児はいない、と思いますが(料理も鋭一の分も含めて作っちゃう!)、ま、リサちゃんかわいいから、よしとしましょう。しかし、30歳近くにもなったやつが地の文で姪を「リサちん」と呼ぶのはどうか...この鋭一、相当鈍いので、作者としては謎を仕掛けやすかったでしょうね。
謎を解決するのが幼稚園児、というのは先例(二階堂黎人の「私が捜した少年」 (講談社文庫)で始まるシリーズ)がありますが、あちらはハードボイルドですので(笑)、狙いが違うということで。なにしろ、こちらは日常の謎。
そうなんです。日常の謎、なんです、この作品。実はそこが不満です。完全な言いがかりですが、黒田研二に、日常の謎など、望んじゃいません!!
いや、よくできているんです、この作品。幼稚園児が探偵ということを考えれば、日常の謎が必然ですし、オープニングで「人生のターニングポイント」だなんて思わせぶりなことを言ってスタートするのですが、ターニングポイントたる所以が明かされる過程においてリサの存在は不可欠だし、登場人物の立ち位置(鋭一の未熟さを出すために、対置する存在として幼稚園児というのは有効です。まあ、小学生くらいでもよかったんですけど)を考えれば探偵役はリサしかいないし、きちんと考えたうえでこうなっていることは理解できます。
それに、おもしろい。ドタバタ調ではありますが、キャラクター設定ともあっています。
そう、よくできているんです。よく考えられているんです。そのことはわかります。わかるんですが、やっぱりクロケンさんには、破天荒なものを期待します。着地に失敗してもいいから、大きい絵柄に挑んでもらいたい。日常の謎は、ほかにも書く人いっぱいいますよ。
ということで、この作品は楽しかったですが、次回作はやっぱり変な作品を期待します!

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